出版社内容情報
大門 剛明[ダイモン タケアキ]
著・文・その他
内容説明
レトルト食品工場に勤める若宮は鬱屈を感じていた。花火大会の夜、少女・花歩を殺めてしまう。花歩は母・理絵とともに、被害者が加害者と向き合う修復的司法に携わり、犯罪被害者支援にかかわっていた。13歳の娘を殺された理絵のもとに、犯人逮捕の知らせがもたらされる。しかし容疑者の供述内容を知った理絵は真犯人は別にいると確信。かつて理絵の教え子であった若宮は、殺人を告白しようとするが…。驚愕のラスト、社会派ミステリー。
著者等紹介
大門剛明[ダイモンタケアキ]
1974年三重県生まれ。龍谷大学文学部卒。『雪冤』で第29回横溝正史ミステリ大賞及びテレビ東京賞をW受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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イアン
94
★★★★★★☆☆☆☆被害者と加害者の在り方に触れた大門剛明の長編。花火大会の日になぜ少女は惨殺されたのか。修復的司法という聞き慣れない言葉を通じて贖罪の意味を問う本作。犯人と遺族。語り手となる二人が対峙するプロローグにどう繋げるかが興味深かったが、死体発見後の人物の行動が甚だ疑問。そういう性癖の人がいるのは仕方ないとして、たまたま第一発見者がそうだったというのは少々都合が良すぎる。百歩譲って扼殺や毒殺ならまだしも…。あと自分が遺族なら「加害者が立派な職に就き更生しました」と言われても納得できない気がする。2021/09/13
タイ子
70
「修復的司法」。犯罪加害者が被害者と直接対面することにより、双方の心の回復をめざすもの。もし、自分が被害者側になって加害者と対面するとしたら果たして冷静になるだろうか。この仲介を取り持つ女性校長が突然娘を殺され被害者側になってしまう。犯人は冒頭から分かっているので、そこからどうストーリーが展開するのか。犯人は過去に殺人を犯して、再びの殺人。人は更生できないのか?いろんな問題を含み終盤あっと言わせる真相が…。上手いですねぇ、この作家さんにハマりつつありますが、さらにハマりそうです。2019/03/19
GAKU
67
この作品で『修復的司法』という存在を初めて知った。修復的司法に携わり、犯罪被害者支援に積極的にかかわっている、小学校校長の理絵は娘を殺されて一転して被害者となってしまう。被害者となっても今まで通り、修復的司法に対する考え方は変わらないのか?加害者である若宮はやはり、更生とは無縁の犯罪者でしかなかったのか?結末がどうなるのか気になり、夢中で読んだ。なーんだ、結局は予想していた結末?若宮、結局更生してないし!と思いきや、最後の最後での事件の結末。そう来ましたか!今作も大門さんにはやられました。面白かった! 2019/05/23
takaC
66
「空前の問題作!」の触れ込みは誇張ではない。しかし行き過ぎ。勘違い者を誘発させないことを祈る。2015/01/09
財布にジャック
58
加害者の心理、そして被害者の心理、どちらの気持ちも読んでいて辛く苦しいものでした。中盤までは表紙と題名がしっくりこないなぁと感じていましたが、それは私が騙されていたからだったのだと分かり、読み終わってちょっと悔しい気分です。どんでん返し好きにはお勧め出来そうですが、「雪冤」があまりにも良かったので、それに比べるともう一歩かなぁと思いました。でも、大門さんの小説は今後も要チェック決定です。2014/07/19