出版社内容情報
大学進学のため熊本から上京した小川三四郎にとって、見るもの聞くもの驚きの連続だった。女心も分からず、思い通りにはいかない。青年の不安と孤独、将来への夢を、学問と恋愛の中に描いた前期三部作第1作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
144
重苦しい雰囲気の後期の作品にくらべてこれは明るく、瑞々しい。青春小説として誰もが感情移入して読める普遍性を持っていると思う。漱石は日本の作家としては珍しく、社会の枠組みをきちんと書いた人で、それはこの小説にも表れている。三四郎の母から来る手紙に書かれている明治の地方の生活と、東京の生活の対比が鮮やかだ。三四郎が好きになる美禰子の描き方が、後期の作品を予感させる。自分とは全く異なった異性に翻弄されて、三四郎は苦しみながら、自分の内面を覗き込む。今回再読して、意外なほどモダンで読みやすい漱石の文体に驚いた。2016/07/25
しょーくん@本棚再編中
62
★★★★★☆☆☆☆☆うーん、もどかしくて、切なくて、甘酸っぱいですねぇ。現代にも通じるのがすごいですね。さすがは現代文学の祖、漱石先生です。2016/08/29
nakanaka
58
いつか読みたいと思っていた作品でした。面白い。九州から東京帝国大学に進学し上京した小川三四郎の青春恋愛小説。人との出会いによって広がりを見せる三四郎の学生生活が妙に面白かったです。夏目漱石がこんなにユーモアのある人だったとは。まるで森見登美彦作品と被るようなところもありました。また作品の背景を調べると、主要な登場人物にモデルが存在することもわかり更に興味深い。最後は切ない終わり方ですが清々しさもありました。三四郎の話ではありますが、与次郎が第二の主人公ですね。2023/11/20
万葉語り
40
角川文庫表紙はもう少し落ち着いていた。熊本から大学進学に伴い上京した三四郎が、汽車の中から強烈な印象を残す人々に会い刺激を受ける。さらに大学構内の池の端であった女性美禰子に淡い恋心を抱くが、なかなかうまくいかずいろんなものが邪魔をする。そうして郷党の鬼才も己の分というものを知っていくのだろうと思った。しかし人のお金を預かってそれを競馬で摩ってしまう与次郎はろくな奴じゃないと思った。2016-1752016/08/08
あむぴの
37
●●カドフェス2016発見!角川文庫26冊目。あまずっぱい青春。2016/06/26
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