出版社内容情報
四季折々に恐ろしい、日本の怪談十二ヶ月。
睦月には鬼を呼び、如月に死してなお深き女の情念に惑わされる。弥生の頃に別れたあの人は……。美しく移ろう日本の四季、その陰に寄り添う十二ヶ月の怪異を描き、鮮やかに恐怖を浮かび上がらせる異色の怪談短編集。
内容説明
初詣の夜に妻を見失った男。帰ってきた妻は、以前とはなにかがちがっていた。老人の語りが戦慄を呼ぶ「鬼がくる家」。女子大生の“あたし”は真夏の山中で、われにかえった。見知らぬ車に見おぼえのない服。失われた記憶を求めて恐るべき真相にたどり着く「迷える羊」。平凡なOLが引っ越したマンションには、得体のしれない誰かが住んでいた。女の情念と狂気を描く「九月の視線」。四季を舞台に織りなす12篇の恐怖。
著者等紹介
福澤徹三[フクザワテツゾウ]
1962年福岡県生まれ。デザイナー、コピーライター、専門学校講師を経て作家活動に入る。著書に第10回大藪春彦賞受賞作『すじぼり』など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yu。
30
心の移ろいにスポットを当て最後はイヤ〜な気持ちにさせる恐怖物語という意味では面白いんだけど、怪談=幽霊話でなければならないという個人的な思いが強いだけにどうしても素直には…。まあそんななかでも祖父が語る恐怖体験「鬼がくる家」は色濃い怪談テイストが愉しめ満足。2015/11/26
ROOM 237
15
Kindle Unlimited無料にて読了。創作怪談12篇入り。福ちゃん本にしては怖くない…うーん…物足りない。怪異とイヤミスのハイブリッドなのか、どっちつかずでブレているせいかのめり込めず。恐怖というより人間に対して嫌悪感を持たせるような描き方、中途半端に色っぽいシーンも多く安っぽい。人の暗闇に肉付けするために敢えて三文小説風にしたかったのかなァ…昔はオレも凄かった語りする面倒くさいおじさんみたい。辛口でごめんなさい🙇♀️2022/07/11
HANA
12
「迷える羊」以外は人間関係の隙間から恐怖が顔を覗かせるというものがほとんど。こういうのは恐怖感より人間関係の陰鬱さをより強く感じてしまうのでちょっと趣味に合わない。枚数のせいか何が起きているのかという予感以前に終わってしまっている作品がもったいない。もう少し詳しく書けるとよくなった作品が多いのではないかと思った。2011/12/13
ぺんぎん
11
幽霊も元々は人間であることを考えたら、本当に恐ろしいのは人間の悪意や嫉妬心や欲なのだ。怪談を読む度に毎回思うことだが、この本は特に人の心の恐ろしさがよく描かれていて面白かった。2024/08/31
スーヌ
9
【B+】12話の短編。無駄な前置きが無く、程よい長さでちょっとした空き時間に読むには最適の一冊だった。どれも面白かったけど、特に『隣の女』が好きかな。オチが想定外で見事に騙されたから。(思わず最初から読み直してしまった…)それ以外の話もいろんな角度から描かれてるので飽きない。怪談とは言えないかも知れないがなかなか深みのある作品集だ。2016/01/24
-
- 電子書籍
- 美を育てる 幻冬舎単行本