出版社内容情報
本来なら西太后は生まれていなかった
中央集権と統一と政権存続を至上とする中華帝国。それを支えた後宮は清朝に完成形を迎えるが……。
巨大な密室から歴代王朝の興亡を描く画期的中国史。
清朝になり、妃選びは容色でなく内面重視が徹底された。
個々の皇帝は死ぬ。歴代の王朝は滅びる。だが、絶対的な権威と権力をあわせもつ一人の支配者が君臨する中央集権的な統一国家、という中華帝国のシステムは続き、それを後宮が支えた。
宋、元、明、そして清となり、士大夫、外戚、宦官のトリレンマも解消され、後宮制度も完成を迎えたかに思えたが、偶然の産物で西太后が現れる……。
■軍服を着た異色の皇后。南宋・高宗の呉皇后
■夫がいる宮女まで意図的に襲った、金の海陵王の異常な荒淫
■明の後宮の組織は肥大化し、宦官十万人で餓死者もでた
■皇帝と皇后に礼を尽くさせた乳母
■宮女たちの皇帝暗殺計画。中国史上、屈指の怪事件「壬寅宮変」
■同治帝は後宮で生まれた最後の皇帝となった
■モンゴル王朝の後宮は健全だった
■明時代、皇后までは倍率五千倍
■永楽帝の後宮で起きた、三千人以上が死刑となった魚呂の乱
■明朝第一の悪女、万貴妃。皇子殺しに、皇帝のお手付きとなった女官も殺す
■清の康熙帝に二度廃立された悲劇の皇太子
■乾隆帝の隠れ家は三畳一間だった
【目次】
第六章 宋の後宮
第一節 北宋
第二節 南宋
第七章 征服王朝(遼・金・元)の後宮
第一節 遼と金
第二節 元
第八章 明の後宮
第一節 明初
第二節 中期―最盛と停滞
第三節 中期―中興から衰退へ
第四節 明末
第九章 清の後宮
第一節 清初
第二節 康煕・雍正・乾隆時代
第三節 清末
あとがき
参考文献一覧
【目次】
第六章 宋の後宮
第一節 北宋
文治主義を採用した宋/宋の国母の教え/金匱の誓い/宋儒/宋も実は女傑だらけだった/皇帝暗殺未遂事件、坤寧宮の変/黒幕は誰か/掖庭の獄/水滸伝と靖康の変 等
第二節 南宋
元祐皇后、復国の皇太后となる/全国で恥辱を受けた高宗の母と妻/軍服を着た女傑の皇后/悪女・李鳳娘/皇統は再び絶えた/南宋の滅亡 等
第七章 征服王朝(遼・金・元)の後宮
第一節 遼と金
中国史の王朝の三種類/遼の耶律氏と蕭氏/征服王朝の後宮はある意味で日本的だった/金の歴代皇帝/金の後宮/海陵王の異常な荒淫
第二節 元
モンゴル帝国の後宮/モンゴル王朝の後宮は健全だった/モンゴルの妲己ことダギ/高麗出身の奇皇后/元の北走
第八章 明の後宮
第一節 明初
最後の漢族王朝/皇后の模範、馬皇后/後宮の組織は肥大化し、宦官十万人で餓死者もでた/皇后までは倍率五千倍/永楽帝は宦官に甘かった/三千人以上が死刑となった魚呂の乱 等
第二節 中期―最盛と停滞
明王朝の最盛期は第五代宣徳帝の治世/五十七年間、後宮に仕えた朝鮮出身の女官/明朝第一の悪女、万貴妃/皇子は安楽堂で育てられた/万貴妃の最期/本当に悪女だったのかは疑問 等
第三節 中期―中興から衰退へ
最後の名君/皇帝と皇后に礼を尽くさせた乳母/不良皇帝と宦官/凌遅処死/豹房の謎/正徳帝も劉謹も民衆に人気があった/中国史上、屈指の怪事件「壬寅宮変」/宮女たちの暗殺計画/紫禁城と火災 等
第四節 明末
転換点となった万暦十年/王恭妃の悲劇/新皇帝の急死と宮廷医師の存在感のなさ/明王朝後半の后妃制度/乳母と宦官が手を組んで専横する/魏忠賢の非道は統治に利点もあった/李自成の乱/亡国の後宮は修羅場と化した/明の総合評価 等
第九章 清の後宮
第一節 清初
最後の東洋的王朝/清の建国/「関外の旧制」は簡素だった/ホンタイジの後宮はレビラト婚を禁止した/「女傑」孝荘太后と「摂政王」ドルゴン/最後の殉死者は一人だった/「順治出家」という野史 等
第二節 康煕・雍正・乾隆時代
康熙帝の生母は漢軍八旗/二度廃立された悲劇の皇太子/清の選秀女/子作りする暇もない/新しい皇位継承法、太子密建/乾隆帝の生母は何者だったか/例外となったウイグル人の妃/香妃伝説はナショナリズムが生んだ/宮女が奸臣に転生 等
第三節 清末
「屈辱の百年」の始まり、アヘン戦争の皇帝/西太后となったのは偶然のつみかさなり/同治帝は後宮で生まれた最後の皇帝となった/光緒帝の死因は毒殺説が有力となった/ラストエンペラー/最後の后妃たち/後宮のなごり 等
あとがき
参考文献