内容説明
暗殺、デマ拡散、ハッカー攻撃―次々と世界を揺るがす事件の背後を探るため、著者は国境を越えて駆け回る。偽サイトのトロール工場を訪ね、情報機関の高官にも接触。時に身の危険を感じる状況の中で、見えてきた真実とは。想像を超えて進化する秘密工作、その現状を活写する衝撃作。
目次
第1章 工作員たちの「濡れ仕事」
第2章 ロシアのプレーブック
第3章 黒いカネの奔流
第4章 デマ拡散部隊の暗躍
第5章 プロパガンダの論理
第6章 サイバー攻撃の現場
第7章 コロナ後の世界
著者等紹介
古川英治[フルカワエイジ]
1967年、茨城県生まれ。日本経済新聞社編集局国際部次長兼編集委員。早稲田大学卒業、ボストン大学大学院修了。93年、日経新聞入社。商品部、経済部などを経て、モスクワ特派員(2004~09年、15~19年)。その間、イギリス政府のチーヴニング奨学生としてオックスフォード大学大学院ロシア・東欧研究科修了。世界の大統領から工作員、犯罪者まで幅広く取材。『破壊戦―新冷戦時代の秘密工作』は初の単著となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スプリント
7
大衆を扇動できるという点で核攻撃よりもサイバー攻撃の方が長く広範囲に相手国にダメージを与えることができますね。 追跡されなければどこが仕掛けたのかもわからないのも核攻撃よりも優れている点だと思います。2021/10/30
Marcel Proust
6
著者の徹底した取材力に感服する。ロシアによる民主主義国への情報かく乱工作は、我々の想像以上のものだ。この本をロシアのエージェントである佐藤優の「インテリジェンス漫談」「スパイごっこ漫談」を真に受けている人に一読を勧めたい。佐藤優はプーチンと旧KGBのプロパガンダをバラ撒いているだけの男だ。国際社会に堂々と嘘を吐き、自国から民主主義と言論の自由を絞め殺している男がプーチンの真の実像なのだ。2023/08/22
無重力蜜柑
6
サイバー部隊や犯罪組織を用いたロシアの非正規戦=ハイブリッド戦争に関するルポルタージュ。特にオリガルヒや国営企業によるマネーロンダリングや欧米極右勢力支援、デマメディアによるプロパガンダ戦等にページが割かれている。ルポというのは初めて読んだが、出所を隠さねばならない「筋」による情報や断片的なニュースから「真実」を推測し、強引な突撃取材で得た証言を自分の納得のいくように解釈してツギハギしているようにしか見えなかった。この分野のついては最近は学者の書いた本が色々出ているし、わざわざこれを読む必要はないかな。2021/11/15
つっきー
5
おっそろしーけどめちゃくちゃ面白かった!買収・デマ拡散・サイバー攻撃といった「ダーク・パワー」の展開、主にロシアの話。標的は個人にも及んでいる、とすると、こういう話は知っとくのと知らないのでは大きな差があると思う。2021/06/17
KIBA
3
日経新聞モスクワ特派員だった筆者が足を使って取材したロシアの情報戦についてのルポ。プーチンに近いオルガルヒの黒い金の動き、ネット上で世論工作するトロール(荒らし)を追いかける。16年1月にドイツで起きた「リサ事件」17年「マクロン大統領の同性愛者説」ロシアのプロパガンダによるによる論理はトランプ大統領、ポピュリズム指導者の危うい言動で自由社会を蝕んでいく。中国がロシアをまねて情報工作戦をやって力をつけロシアを取り込みヨーロッパを切り崩していくことが最悪のシナリオ。2022/08/18