出版社内容情報
ある「こども食堂」での話。
今日は鍋にしようと、大人たちが鍋料理を作ったところ、高校生の女の子が「みんなで鍋をつつくって、本当にあるんだね」と言った。彼女には、その経験がなかった。みんなで鍋をつつくというのは、テレビの中でだけ起こるフィクションだと思っていた。スーパーマンが空を飛ぶように。
同様の話を、よく聞く。大学生のボランティアに会った中三生が「大学生って、本当にいるんだね」、簡単なクリスマスパーティをしたら「これって現実なのかなぁ」。中三生でも「偏差値」という言葉を知らない。高校生がテスト中に先生を呼び止めて「『氏名』ってなんて読むの?」と聞く。
「あたりまえ」の経験や知識が欠如している子どもたちが増えている。
この子たちが世の中を回すようになったとき、世の中はどうなるんだろうか?
このような状況に腐らず、諦めず、1ミリでも対策を進める人たちが、まだこの国にはたくさんいる!
「あの子はラッキー」で終わらせない。
1ミリを動かすどんな試みが巷に溢れているか。その諸相を紹介していく。
そこには、状況の厳しさと同時に、それに立ち向かう希望が示されるだろう。
子どもの貧困は減らせる。私たちの社会は、私たちの手で変えていける。
それは、たった1ミリに敬意を払う、私たち自身の姿勢から始まるはずだ。
貧困問題の第一人者が取材した、「解決」の最前線!
内容説明
いまの日本の最大の問題は、“子どもの貧困”である。問題は余りに大きい。一朝一夕にすべての人を幸せにする解決策もない。だが、一ミリでも対策を進める、腐らない人たちが、この国には、まだたくさんいる!貧困は減らせる、社会は根もとから変えられる!!貧困問題の第一人者が取材した課題解決の最前線。
目次
第1章 子どもから社会を見直す―貧困とは何か?(体験の貧困お金だけの問題ではない;意欲の貧困あきらめないために必要なこと ほか)
第2章 あきらめない人たち―「こども食堂」と「無料塾」(名づけ親が言う「こども食堂」は「こどもの食堂」ではない;「こども食堂」とは何か? ほか)
第3章 できることを、できることから―動き出す自治体・企業(「子どもの貧困対策をするつもりはない」と言う対策先進市の市長;「学習県」を標榜する知事の思い ほか)
第4章 社会をつくり直す―貧困の連鎖を断ち切るために(風俗からこども食堂に転じた夫婦の苦闘;AIに太刀打ちできる読解力をすべての子に ほか)
著者等紹介
湯浅誠[ユアサマコト]
社会活動家。法政大学教授。1969年東京都生まれ。日本の貧困問題に携わる。2008年末の年越し派遣村村長を経て、09年~12年内閣府参与(通算2年3ヶ月)。政策決定の現場に携わったことで、官民協働とともに、日本社会を前に進めるために民主主義の成熟が重要と痛感する。現在、法政大学現代福祉学部教授の他、NHKラジオ第1「NHKマイあさラジオ」、文化放送「大竹まことゴールデンラジオ!」レギュラーコメンテーター他。著書に『ヒーローを待っていても世界は変わらない』(朝日文庫)、『反貧困』(岩波新書、第8回大佛次郎論壇賞並びに第14回平和・協同ジャーナリスト基金賞受賞)、など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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