内容説明
“日常系アニメ”を愛でる人々がなぜ「ネット右翼」と化すのか?2ちゃんねるからニコニコ動画、そしてスマホまで共感主義に支配された現代日本人の心性を気鋭の批評家が解き明かす!
目次
序章 暴走するネット社会とセカイ系決断主義
第1章 ネトウヨとは誰なのか
第2章 ネット上の「共感」はいかにつくられるのか
第3章 ネトウヨとオタクの政治的親和性
第4章 ネトウヨの精神的起源としてのロマン主義
第5章 コンテンツに現れた共感的共同体の可能性
著者等紹介
村上裕一[ムラカミユウイチ]
1984年生まれ。批評家。早稲田大学第一文学部卒。サブカルチャーならびにネットカルチャーに明るい批評家として活動。電子雑誌『BOX‐AiR新人賞』では小説のプレゼンターならびに審査員を担当。ラジオ「村上裕一の九段下ロイヤルストレートフラッシュ!」メインパーソナリティ。株式会社梵天代表取締役社長という経営者としての側面も持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サイバーパンツ
11
インターネット総2ch化から、ネトウヨとサブカルの親和性、「正義」を盾に敵を叩くことによって得られるカタルシス(ロマン主義的陶酔)、ネット発達による情報の過視化とスマホ普及による閲覧の簡易化によって、政治的なものに関わりのなかった新中間大衆のネトウヨが増加したことなど、ネトウヨ考察は面白かった。が、最後の京アニとカゲプロの考察はあまりネトウヨとは関係性がない宇野の共感主義を膨らませたコンテンツ批評で、蛇足と言わざるをえない。単体で見れば割と面白いのだが。2016/07/16
凛
11
ネットの浮遊層を社会・政治的なアプローチで考察し、さらにサブカル分野との関係を議論している。ネトウヨ関連の現場的な情報量が多いため現状把握ができる一冊。情報との付き合い方があやふやでいつの間にかフロート化している現象は頷ける。文化論を絡めた議論は『ゼロ年代の想像力』に後続して新たなエッセンス(フロート、ループ等)を追加しているが、可能性の示唆に留まっている印象を受けた。カゲロウプロジェクトのストーリー考察だけやけに詳しく書いてあったが理解に苦しんだ。全体的に文章が読みにくい。常体のほうが読みやすいのでは。2014/07/23
おさむ
8
題名にひかれて購入したものの、見事に期待はずれでした。文章も読みづらく、全くお薦めできません。2014/02/13
鳩羽
7
特に主義思想は持たないけれど、共感を引き出しやすい話題には賛否を主張し、ときに炎上や批判の殺到を引き起こしてしまう「新中間大衆」。インターネットの普及で登場してきたこの層はどういう存在なのか、なぜネトウヨ的な思想に親和性を持つのかを考える。アニメやゲーム、カゲプロなどを取り上げ、かつて政治や現実と不可分だった文学がになっていたヒューモアを、新しいタイプの物語がどう担っていくのかの辺りは、『ゼロ年代の想像力』への応答のようでもあれば、そのまま延長のようでもある。おおまかに言えばネットや物語への接し方について2014/03/09
またの名
5
京アニ・カゲロウデイズ論の長さが異様。ネトウヨはフロート化した社会の現象→潜在的にネトウヨ的なのがネット→ネットは総じて2ちゃんねる的→2ちゃんはオタク的文化の巣窟→つまりネット-2ちゃん-サブカルの流れ、及び日本浪漫派的イロニー→2ちゃん独特のイロニー→イロニーを喪失した臨場感に左右される共感主義というロマン主義的陶酔の変遷の流れの交差点に、ネトウヨの発生を見る議論。物心のついた時からネットに接続していた世代には本書の実存的側面はよく分かるはず。キャラクターのヒューモアはあの象徴に対抗できるんだろうか?2014/09/16