出版社内容情報
恋と友情を同時に失い、落ち込み気味だった大学生の咲は、早春の朝、近所の庭園に赴いた。純白の花を咲かせる木の傍に、佇む人影――白木蓮の精霊が、何故かため息をついている。咲は幼いころから花木に宿る精霊を視ることができた。美しい姿の精霊たちは、長い時を生き人を見守っている。
白木蓮にため息の理由を尋ねると、ある少女を捜してほしいと頼まれた。咲は昔なじみの精霊・楠と協力し、望みを叶えるため街を奔走する。やがて木精が抱き続けていた本心を知ったとき、咲の中でも何かが変わり始めていく――。
内容説明
恋と友情を同時に失い、落ち込み気味だった大学生の咲は、早春の朝、近所の庭園に赴いた。純白の花を咲かせる木の傍に、佇む人影―白木蓮の精霊が、何故かため息をついている。咲は幼いころから花木に宿る精霊を視ることができた。美しい姿の精霊たちは、長い時を生き人を見守っている。白木蓮にため息の理由を尋ねると、ある少女を捜してほしいと頼まれた。咲は昔なじみの精霊・楠と協力し、望みを叶えるため街を奔走する。やがて木精が抱き続けていた本心を知ったとき、咲の中でも何かが変わり始めていく―。第4回富士見ノベル大賞審査員特別賞受賞作。
著者等紹介
久生夕貴[ヒサオユウキ]
「拝啓、桜守の君へ。」にて第4回富士見ノベル大賞審査員特別賞を受賞。改稿のうえ、本作を上梓する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
40
幼い頃から花木に宿る精霊を視ることができる大学生の東平咲。恋と友情を同時に失って落ち込み気味だった彼女が、木花に宿る精霊の願いを叶えてゆく現代ファンタジー。白木蓮の少女を捜してほしいという依頼、槐の根本に埋められていたタイムカプセル、金木犀が明かす在りし日の想い、満天星が見守ってきた親子の絆、大切な相手を思い続けてきた江戸彼岸桜。積み重ねてきた伏線を回収して繋がってゆくひとつの結末も見事でしたが、周囲の人々の優しさに癒やされる中で、いつの間にか育まれていた想いを自覚する二人にもぐっと来るものがありました。2022/08/02
よっしー
20
タイトルと表紙絵にひかれて手に取りました。木に宿る精霊とお話が出来るというのは素敵ですね。木に宿るから自由には身動きがとれない、そんな彼らの心残りを解決するために奔走する咲と側で見守る楠。最初は素敵な話だなという程度の感想でしたが、次第に精霊と人では時の流れが違う事が分かり…。切ない中でもほっこりとした気持ちになる終わり方でした。2023/04/27
はなりん
15
木の精霊が視え話ができる咲。人を見守る精霊の想いとそこに関わる人達の想いが優しく切ない。その間を繋ぐ咲の成長、人との関わり、恋模様、曽祖母との温かなやり取りがとても素敵な物語でした。心温まる読後感です。2024/03/03
悠
13
☆5 木精と木精が見える人との暮らし。 白木蓮・槐(マメ科の落葉高木)・金木犀・満天星(ドウダンツツジ)・江戸彼岸桜 それぞれの木精たちの願いを叶えるために昔馴染みの精霊・楠と共に奔走する咲ちゃん。それぞれとても良いお話でした。咲ちゃんの恋心も可愛いです。 精霊を見ることができたら…と考えてしまいました。でも精霊は居るような気がします。2025/01/24
starly
11
木花に宿る精霊が視える主人公、東平 咲。精霊達は皆長生きしながらもまるで我が子のように人々を見守っていて優しいと思えた作品。精霊達の願いを第三者として咲は手助けし、叶えていく。各章にて伏線があり最後に一気に分かった時は納得。これは咲の祖母の物語でもあると同時に咲のちょい恋愛作品。2022/07/13