出版社内容情報
呑気な隠居を夢み、円満退職を願う代筆係の采女・蒼月。期せずして皇帝から六人の姫へ贈る恋文と、物語の執筆を頼まれることとなる。蒼月は六つの物語作りに奮闘するはずが、祖国の反乱に巻き込まれ――?
内容説明
(退職金満額支給!)―代筆業に就く采女・蒼月は、悠々自適な執筆生活を夢み、円満定年退職を願っていた。ところが期せずして皇帝・叡泉から、入内する姫への恋文と贈物の用意を命じられる。退職金アップを条件に依頼を呑んだ蒼月は、物語を贈ることを考案。様々な物語を、蒼月の美麗な文字で綴るのだ。好意を寄せてくる皇帝を尻目に、代筆に没頭する蒼月。だがその贈物がきっかけで暗殺事件に巻き込まれ―!?その一筆が招くものは平穏か、それとも破滅か。六つの物語が波乱を呼ぶ後宮物語。
著者等紹介
喜咲冬子[キサキトウコ]
函館生まれ。「第3回富士見ラノベ文芸大賞審査員特別賞」を受賞、『黎明国花伝』シリーズ(富士見L文庫)でデビューを果たす。ほか、近著に「2019年ノベル大賞佳作」の受賞作『流転の貴妃 或いは塞外の女王』(集英社オレンジ文庫)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よっち
43
定年後の呑気な隠居を夢みて円満退職を願う代筆係の采女・蒼月。期せずして皇帝とから姫へ贈る恋文と物語の執筆を頼まれ、さらには思わぬ争乱に巻き込まれてゆく中華風ファンタジー。今上帝・叡泉に字の上手さを見込まれたことによる転機。明らかになってゆく蒼月の秘めた過去と、周辺国を侵略する晏国の苛烈な遺臣狩り。次代への中継ぎに徹する叡泉と物語が好き過ぎて自らの計画に固執する蒼月でしたけど、巻き込まれた危機的状況に力を合わせて乗り越えたことでお互い心境の変化もありましたかね…そんな二人の行く末をもう少し読んでみたいです。2020/08/01
るぴん
37
後宮で采女として働き、22歳での円満定年退職を目指す蒼月だったが、書の美しさを見込まれて皇帝叡泉に手解きをすることに…。物語が好きすぎる本の虫系主人公は好きな設定なんだけど、どうも乗り切れずに読了。属国が侵略しようとしてきた辺りからずいぶんバタバタした印象だった。喜咲さんらしく、相変わらず恋愛要素は薄め。叡泉の方は蒼月を憎からず想っているんだろうけれど、後宮内でのこれ以上の進展はなさそう。むしろ蒼月が退職した後に自分も帝位を降りてくっついて行きそうだ。2023/06/01
よっしー
21
図書館で見かけた一冊。時代背景や官職の理解が難しく、時折首をかしげる部分はありましたが、蒼月の貪欲に物語を欲する姿勢は良かったです。興味ない人には無意味かもですが、好きな人は好きですよね!!ただ、その為に将来の道を狭めてしまっているのは勿体無いと思うのですが…。でも、この流れだと円満に定年退職とはいかなさそうです。このままだと、皇帝が不憫に思えるので…何とかして欲しいと思ってしまいます。2021/05/31
虚と紅羽
19
全体を通して月夜のしんとした庭園のような雰囲気の作品。雪とか降って幻想的な美しさを醸す世界観に化ける可能性を感じる。 故意となのかなんなのか分からないけど、すいーっと話が進んだ感。え、待ってこれどういう事なの?な部分の未回収が多い気が。それ残念。 姫君たちに贈る物語全部読んでみたい。蒼月の物語馬鹿っぷりに共感を覚える。休みには本屋行きたいよなぁ。分かる。気に入りの作品の新刊とか楽しみだし、その作品の原稿貰えるなら多少危険でも行っちゃうよなぁ。2020/11/06
がんも
17
この作家さんの別レーベルの作品を読んで面白かったので、こちらも読んでみました。こっちのレーベルの方が少しライトな感じ、ただ途中で明かされる蒼月の生い立ちを知るとなかなかハードなんだけど、叡泉の意向と出世の先の退職金を天秤にかけて後宮に残ることにした蒼月、続きもありそうな終わり方でした。2023/01/04
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