出版社内容情報
謎や悩みに効く、朝食あります――。「蓮心茶房」のイチオシは台湾茶とお粥と美形店主。退職した上司の影に悩むOL、キャリアウーマンが陥ったワナ……。悩み疲れた客が朝からやってきて、身も心もほぐしていく。心をおいしく温める癒やしのミステリー
妃川 螢[ヒメカワホタル]
BL作家。2001年『甘い口づけ』でBL作家としてデビュー。同作スピンオフ作品『奪われる唇』でヤクザものシリーズを確立後、警察ものからケモミミまで執筆ジャンルは多彩。
げみ[ゲミ]
内容説明
東京のオフィス街で静かに営業する蓮心茶房のオススメは、店主がお客に合わせてブレンドするお茶とお粥のセット。会社員の曄子が蓮心茶房を見つけたのは、信頼していた上司が突然退職した時。仕事を引き継いだプレッシャーで眠れないまま夜を明かしたある早朝だった。何も言わなくても店主の蓮には曄子の悩みはお見通しのよう。おそるおそるドアを開けた曄子をにこやかに迎え、お茶をブレンドすると…。1杯のお茶が、すべての疲れた社会人をおいしく温める。癒やしのグルメ・ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スズ
75
失恋と仕事で疲れてしまったOL、精神的に病んでしまった新卒社員、部下の指導に頭を悩ませる管理職の女性、父を亡くして引き籠ってしまったパティシエの4人が、お粥と薬膳茶のセットメニューを提供する≪蓮心茶房≫というカフェで元気を貰ったり、自分を見つめ直していく物語。マスターの蓮が入れるお客の体調に合ったオリジナルブレンドの薬膳茶や台湾茶、雑穀が混ぜ込まれ、赤紫蘇を纏った梅干しやタレのかかった鶏肉が添えられた鶏出汁風味のお粥が美味しそう。蓮がお客に無料で渡す水筒に入れられたお茶が、4人の心を優しく温めていました。2017/01/18
佐島楓
72
からだを作っているのは気持ちとそのひとのことを考えてくれる人が作る食事。中国粥、本場のをいただいたことがありますが確かに美味しいです。題名から想像するようなミステリではなくお仕事小説の要素が強いですが、女性へのエールとしてあたたかく読みました。2017/01/18
たるき( ´ ▽ ` )ノ
48
謎解き・・・?始まり方が『スープ屋しずく』にとてもよく似ていた。お粥は個人的に苦手だけど、ちょっと興味を持つことができた。2020/05/06
ぶんこ
46
とても面白かったです。「中医学に基づいた食材の配合を、客ひとり一人に合わせて調整し、変えている」お粥とお茶、スイーツのお店が舞台。ストレスを溜め込んだ客が店主の蓮さんの調合した薬茶で癒されていくものがたりで、謎というのは事件とかではなく、客にふさわしい調合が出来て、それが効果を表す不思議を言うのかな。「自分がことばの受け止め方を変える事で、卑屈な感情を溜め込むことが少なくなったように思う」と言う客の思い。なんだかいいです。「蓮心茶房」でお粥やお茶と蓮と棗兄弟とお喋りを楽しみたくなりました。2018/02/12
はな
41
お初の作家さん。あらすじを見て私が今まさに興味のある中医学、薬膳をテーマにしている1冊だったので読みました。やわらかい文体で読んでいるこちらも温かいお茶やおかゆを食しているかのようなほっとする感じでした。それぞれの体に合うものを見繕って提供してくれるなんて、こんな茶房があったら絶対常連になると思います。謎解きはあまり関係がない感じだけれど、心が迷子になっている人たちにとっては謎を解く感覚なのかなと思いました。2017/01/23