内容説明
作家の父と弟と暮らす少年・未智留。凡庸な両親に育てられた少女・残花。自らをほんの少しだけ優れた、でも大したことのない存在と断じる二人は、取るに足らぬ同級生を見下ろしながら、卑俗で平凡な住民を横目に見ながら、生活するにはちょっと不便で色々と物足りないこの町で、ほんの少しの諦観とともに退屈で停滞したささやかな日々を過ごしていた。けれど。ある日の未智留の一言をきっかけに、二人の平穏な関係は唐突に終わりを迎える。近親相姦、同性愛、虐待―。少年が背負う過酷な真実が肌を晒した時、二人を中心とした歪な“家族”の物語が幕を開ける。
著者等紹介
もちぎ[モチギ]
作家。平成初期に生まれたゲイ。元ゲイ風俗とゲイバーの従業員。現在は田舎で隠居生活を送っている。2018年10月より開始したTwitterで瞬く間に人気を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
leo
13
正直読みづらかった…後半斜め読みでした。作者のエッセイ漫画が好きで必ずチェックしているのだけど…本作は展開が緩やかな割には文章が固い感じがしてなかなかページが進まなかった。作者の半生は漫画で知っているので、どうしてもそこと照らし合わせて読んでしまい、答え合わせのような読み方になってしまった。特殊な人生経験と表現力は兼ね備えた人だと思うので、文筆家としての今後に期待?2021/03/02
JUN
5
人生は綱渡りの連続。2021/10/15
れに
2
近親相姦、機能不全家族、虐待など取り扱っているテーマは重い。それぞれの章で語り手が切り替わって各々の人生や現状、価値観などが綴られていくのだがとにかく読みにくくわかりづらくすんなりと頭に入っていかない。だから読んだ瞬間から頭から抜けていって忘れてしまって読み終えた今は何がなんだかというか全貌をちゃんと把握できたかすら怪しい。感情や行動に共感できるところが少なく常に置いてけぼり感のある読書だった。でも残花の相手が泣いてるからつられて雰囲気で泣けたけど本当はウザいし自分は役者になれるかもってのは何かわかるわ。2022/01/21
七鵺
1
自分は、、このお話はハッピーエンドやと解釈しました。2021/06/09
renren
1
事実は造形だが吐露された心情は私小説なんだろうな。青いのは青い。年齢も性別もバックグラウンドも異なる人物の、背景はともかく心象は描き分けられているとは言い難く、すべて著者の悲鳴の代弁なのだと思う。そして著者自身明確な答えにはまだたどり着けず、終着点は藻掻きながら希望に手を伸ばすところで終わっている。それでよいのだと思う。2021/03/08