出版社内容情報
ナキウサギは日本では北海道にだけ棲息する小動物ですが、特定の種として知られるようになったのは20世紀にはいってからのことでした。ピチ、ピチッといった独特な鳴き声で鳴き交わすことで知られています。見かけはハムスターに似ていますがうさぎの仲間で、絶滅が心配される稀少な生き物と言われています。氷河時代からの姿を残しているとも言われ、「生きた化石」と評されることもありますが、北海道では比較的身近な山のガレ場地帯で見ることができるようです。北海道在住の著者は、少年時代にその鳴き声を聞いたことが忘れられず、長じてナキウサギの棲息地を何度も訪れ、スケッチを重ねました。非常に警戒心が強い一方で好奇心もとても旺盛なナキウサギのいきいきとした生態が、北海道の雄大な山岳風景、美しい草花やエゾリスなどの動物の姿とともに繊細な色鉛筆画で描かれています。
内容説明
ぼくはナキウサギにあいたくてみずうみのほとりにやってきた。対象:3歳から。
著者等紹介
本田哲也[ホンダテツヤ]
1951年、北海道生まれ。自然や動物たちの世界に魅せられて絵を描き続ける。著書に『海をわたるしかたち』『エトピリカの海』『こぐまの森』(偕成社)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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くぅ
24
新刊の棚にあり借りてみましたが息子は興味を示さず。ただ「なんでネズミなのにウサギなの?」と言いました。確かに耳も長くないしネズミみたいだね。(4歳2ヶ月)2021/07/14
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
15
子どもの頃に出会ったナキウサギを求めて、東ヌㇷ゚カウシヌプリ山で10年が経った頃、出会えたナキウサギの親子。いつしか子どものナキウサギだけになり観察を続けて2か月。日本では北海道にしか生息していないナキウサギのリアルな姿が描かれています。2022/01/02
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
11
中学校1年生・2年生おはなし会。今回は1年生・2年生共に同じ内容。『子うさぎチャメの1年』 https://bookmeter.com/books/1116745 と一緒に紹介。北海道にしかいないナキウサギは絶滅危惧種。ですが天然記念物の指定はされていません。私たちが守るべき生きものがどこかでラインをひかれ、国や法律ではまもられていないことを、気になる子は調べて欲しいと思います。2023/03/20
spatz
11
ナキウサギは見たことない。あったらかなり稀有な体験?生活の中に自然がある、手に触れられそうなところにあるもの、ひとは興味を抱かずにはいられない。ナキウサギを見たことはなくても、これならあの人に聞けば知ってるはず、あの博物館にいけば教えてくれる。絵本はすべてのひとのためのもの。自然のないところに住んでいる大多数の人にこそ読んでほしい。これをいいはじめたらなかなか大変なテーマだと思う。自然がない都会に一番人がすんでいるのだから、教えるおとなも知らないのだから。 大人がまず知らないとどうにもならないのではないか2021/06/02
遠い日
4
少年の頃見たナキウサギの姿が忘れられず、50年を経て再会を果たした本田哲也さんの熱い気持ちが伝わってくるノンフィクション絵本。色鉛筆による精緻な絵で、リアルさと共に詩情豊かな物語に仕上がっています。ナキウサギの番いを確認した後、子うさぎがいるはずだと推測して、ただただ待つ時間の張り詰めた気持ち。どうしてもこの目で見たいという熱意と、希少な絶滅危惧種であるナキウサギの生態を知りたいという切実な思い。そんな止むに止まれぬ気持ちがぐいぐいと読み手の胸を押す作品です。#ナキウサギの山#NetGalleyJP2021/06/14