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出版社内容情報
やさしく力持ちの「牛女」。可愛がって育てた子供のいく末を案じて、死後も冬山に雪形になって現れた。母性の心うたれる物語絵本。 小学校中学年から一般むき
内容説明
ある村に、「牛女」と呼ばれる女が、男の子と二人で暮らしていました。あまりに背が高い大女なもので、いつも首を垂れて歩きました。力も、ほかの人の幾倍もあって、石運びなどの力仕事をしていましたが、性質はいたってやさしく、涙もろかったので、そう呼ばれたのです。女は耳が聞こえず、口がきけませんでした。そのうえ、男の子には父親がありませんでしたので、男の子のことをいっそう不憫がり、大変にかわいがって育てました。もし自分が死んだなら、何かに化けてでもでてきて、子供の行く末を見守りたいと思っていました。そして、実際、女は、病気になって死んだあと、冬山に雪形となって現れたのです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
69
耳も目も不自由、その上体が大きいシングルマザーで、周囲から牛女と呼ばれている女性。自分のせいで子供が不幸になるのは耐えられないと、亡くなってからも子供の前に時々現れる。牛女というあだ名がついている割に周囲の人たちがあたたかな人たちだった。母の愛情と捉えると美しい話だが割と大きくなってからも何かしらの形で現れる牛女、終盤は「もうそろそろ大丈夫でしょ!」とちょっと思いました。2022/02/13
はる
63
身体があんまり大きいものだから、村の人たちから「牛女」と呼ばれた母親。耳が聞こえず、口もきけなかったが、自分の子供をとても可愛がっていた…。ああ、こういうのはやっぱり母親の視点で読んでしまうなあ。日々の暮らしの中での、息子との小さな幸せを想像してしまう。かつての日本の土俗的な雰囲気。高野玲子さんの素朴なタッチの版画が印象的。2021/02/16
優希
47
体は大きいものの、耳も聞こえず、目も見えない「牛女」。母としての愛情で息子と過ごす日々に感動です。2021/10/03
ナハチガル
17
母一人子一人の生活は貧しくも愛情にあふれ、その日暮らしでも悲惨さはなく、母を亡くした後は周囲の助けで立派に育ち、村を出て行た後一生懸命働いて金持ちになり、帰郷して始めた果樹園はつまづきながらもついには成功を収める。こう書くと起伏のない話のようだが、画風のせいもあってか、なにかみっしりとした魂魄とでもいうものが濃密に漂っている。凡人ならもっと波乱万丈を描き、恨みや愛情を際立たせたことだろう。どこか不気味でうろんだが、濃密な無私の愛情は、時にそういうものでもあるのだ。A+。2022/05/06
こたろう
16
千早茜さんの『神様の暇つぶし』から。愛情の物語なのか、悲哀か、はたまた執着か。どれか、ではないのかもしれない。悲哀も執着も、愛情の一部。2019/08/29
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