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出版社内容情報
よだかは実に醜い鳥。そのためにみんなからうとまれ、身のおき場がなくとうとう宇宙の彼方へ?。生命の在り方を根源的に問う不朽の名作。 小学校中学年から一般むき
内容説明
よだかは、実にみにくい鳥でした。その姿かたち故に、ほかの鳥からうとまれ、さげすまれ、その名の故に、本物の鷹から嫌われ、おどされつづけました。そしてその自分が、平気で羽虫を食べて生きる宿命にあると気づいた時、よだかは、この辛い世界を捨てようと決意して、一直線に空をのぼってのぼって、ついに青白く燃える星となったのです。よだかの極まった悲しみを描いて、対極の〈まことの幸福〉をはげしく求めた宮沢賢治の傑作を、中村道雄が入魂の組み木絵で絵本化しました。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masa@レビューお休み中
132
哀しい。本当に哀しいとき、人は涙することができないものだ。寧ろ、冷静に沈着に物事を分析してしまう。よだかは、醜い姿のために、他の鳥たちからも嫌われていました。「たか」という名前が付いているだけで、鷹からは名前を変えろと脅されてしまう始末なのです。この物語を読んでいると、コウモリの話を思い出してしまいます。同じ種族なのに誰からも認められない、誰からも歓迎されない。それどことか迫害すらされてしまう…。賢治の時代にも、やはりイジメというものはあったのでしょうか。差別したり、裁くのは人だけではないのでしょうか…。2016/11/13
馨
116
感動の名作とのことで読んでみました。救いようが無い話ではないですか。読んでいるうちによだかの容姿が醜いだけが理由での周りの鳥たちの態度に腹が立ったし、正直この話を考える作者に対してまでも憤ってしまいました。唯一家族はよだかの理解者だったと思うのに家族ともお別れするなんて。今ちょうどオリオン座がきれいな時期。星をみたらよだかを思い出しそうです。2022/12/04
めしいらず
86
容姿によって変わる心のありよう。強き者、美しき者は、いつも自信に満ち溢れ、明確な己の意思を相手に押し通す術を心得ている。弱き者、醜き者は、その自信なさ故に見下され、侮られる己を甘受している。相手の気持ちに心を配り接しているのに、いつでも色眼鏡を通した正確でない姿でしか認識してもらえない哀しみ。日々感じている生き難さ。それでも相手を貶めることでは癒すことなど出来なくて、心の奥底に澱となって堆積している。哀しみを見据え、辛さを堪え、凛と立つ人に寄り添う、美しい物語。2016/10/12
☆よいこ
76
よだかは鷹にいじめられ、市蔵と改名しろとせまられる。太陽に焼かれて死にたいと飛び立つが、夜の星に頼めといわれる。よだかは星に向かって飛び立つが星たちにも相手にしてもらえなかった。よだかは飛び続ける。▽宮沢賢治『よだかの星』の絵本ではこの装丁が一番好き。『宇宙に駆けるよだか』を息子と一緒に見てたら、この本を未読だったというので借りてきた。2018/08/21
Willie the Wildcat
71
読後の振り返りで、次男と実際のヨタカをWebで確認。「なぜ皆よだかを嫌うのかな・・・。なぜ星になったのかな・・・。」とのこと。人は皆、個性があること、そしてそれを尊重することも大切。まずはこの点だけ会話。偏見、先入観、蔑み、妬み・・・。自然界の厳しさから”矛盾”を感じる。自己を振り返り、結果として星となる。結果ではなく”振り返る”ことの大切さを説いたのだと考える。中村氏の『木絵』は豊かな感情に溢れた逸品。賢治の思いを感じる気がします。2012/07/01