出版社内容情報
二目と見られない顔に生まれついた国王の姫は、人里離れた庵で物思う心優しい娘に成長した。今昔物語に材を得た情感あふれる絵本。 小学校高学年から一般むき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
29
親の因果が子に…。理不尽なものです。しかも親の悔恨ではなく子供の悟りが求められるなんて…。読後感が爽やかでほっとしましたが、でもやっぱり理不尽だなあ。絵は赤羽末吉さん。素敵です。2020/12/16
ヒラP@ehon.gohon
21
王様に望まれて生まれてきた赤ん坊は、顔を背けるような醜悪な姿だった。 容姿を嘆いた親と娘のお話ではありますが、美しい終わりとは別に考えさせられる物語でした。 征服欲の強い王様の子だったから、その血なまぐささが子どもにうつったのでしょうか。 心の美しさが、娘の容姿を変えたという美談とは別に、夫の心は、とても愚かに思えました。2022/06/24
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
18
中世説話文学『今昔物語集 ハシノク王の娘金剛醜女のこと』から作品化されたおはなし。 インドや西域が天竺とよばれていた頃、天竺には16の国があり、最も巨大なのがハシノク大王のシャエ国でした。ハシノク大王と后マリ夫人には間もなく赤ちゃんが生まれてきたのですが、毒蛇のような肌と血なまぐさいにおいを持つ女の子でした。大王は殺せと言いますが、マリ夫人が止め、森の中の庵で育てることにしました…。姫は成長し、ある日わが身の姿を初めて知った時に、お付きの女官と乳母の対応が素晴らしいものでした。2020/06/07
shoko
10
今昔物語集から着想を得て作品化されたもの。人生について考えさせられる心に残る節が複数ある、文章をとっても絵をとっても気高い作品だと思った。母の強さ、王女を育てた女官と乳母の使命感、そして夫の愛情。運命を乗り越えた王女自身も立派だけど、人はまず周りに与えられて、やっと還元できるようになるんだろうな、という周囲の人間の存在の大きさにも思いを馳せた。(引用)人は自分の力ではどうにもさけようのない災いに出あうこと。ふりかかるそうした運命を、どのように切りひらいてゆくかが、その人の価値をきめること……。2025/05/17
ochatomo
9
「私の絵本ろん」より 心根の美しさは「春のわかれ」と同じで、男女の愛を交え更に雄大に語られる シャエ国はインドにある想定で赤羽氏の絵は乾いた空気を感じる 1981刊2021/03/30