内容説明
父を王に殺された少女バルサ。親友の娘バルサを助けるために職も名誉も捨てた男ジグロ。用心棒稼業に身をやつし、ジグロはバルサを連れ、追手をかわし、流れあるく。―『精霊の守り人』で女用心棒バルサが登場して以来、『天と地の守り人』まで「守り人シリーズ」は全10巻の壮大なファンタジーシリーズとなった。『流れ行く者』はその番外編といえる連作短編集。
著者等紹介
上橋菜穂子[ウエハシナホコ]
立教大学博士課程単位取得(文学博士)。専攻は文化人類学。オーストラリアのアボリジニを研究。女子栄養大学助手を経て、川村学園女子大学教授。著書に『月の森に、カミよ眠れ』(日本児童文学者協会新人賞)『精霊の守り人』(野間児童文芸新人賞、サンケイ児童出版文化賞、アメリカ図書館協会バチェルダー賞)『闇の守り人』(日本児童文学者協会賞)『夢の守り人』(路傍の石文学賞)『神の守り人 来訪編・帰還編』(小学館児童出版文化賞)『狐笛のかなた』(野間児童文芸賞)などがある
二木真希子[フタキマキコ]
愛知教育大学美術課程卒業後、テレコムアニメーションフィルムに入社。フリーを経て現在はスタジオジブリでアニメーションの原画を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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文庫フリーク@灯れ松明の火
95
内扉のイラスト。二木真希子さん描くバルサの表情は甘さを微塵も感じさせぬ幼き戦士の顔。「自分の居場所、自分でつくってこい」ジグロは義父であると同時に、厳しくも優れた師でもあった。初めて他人の生きた肉体に振るった短槍。その穂先が刺さった感触。初陣で生き延びたのは僥倖に過ぎない。血と嘔吐物にまみれて悲鳴をあげ、身をよじる若き炎バルサ。その炎を抱え込むように全身で強く、強く抱き締めるジグロ。シリーズ全ては読み返せないが『闇の守り人』のバルサとジグロの〈槍舞い〉だけでも再読したくなる。→続く2012/06/13
ハサウェイ
78
守り人番外編。バルサとタンダの幼い頃の物語。深い、人は自分の生きてきた証をどの様に人に伝えるのか。受け取る側は、その人の背中を見つめ察するのか。言葉や文字で伝えるのも方法であるが、自分から行動をし、それを見させるだけでも十分に伝わるものだと感じる。叔父から影響を受けたタンダ。女賭事師アズノや隊商護衛士スマルなどから察したバルサ。やがて彼等は国の人々の苦しみ等に立ち向かっていく大人になる。まだまだ先ではあるが。最後に森の外れから現れた大小二つの影を見つけたタンダの笑顔が思い浮かぶ。2016/07/13
まるる
60
おおおお!ジグロが生きてる!! 幼いタンダが可愛すぎる!!! バルサとジグロは血が繋がってなくても父娘だったんだなぁ。 流れ者になってしまった身だけど、ちゃんと帰る場所がある。タンダとトロガイのいる場所が、バルサの故郷なんだな。2016/12/16
さこぽん
37
短編だが、読み応えがあった。 連作だったからかな。 <ラフラ>と<流れ行く者>はおとなテイストだ。 こういうのが読めるのは”番外編”の魅力だろうな。 ”護衛士”を語るスマルの言葉が心に沁みたし、流れ行く者の過酷な運命に身を切られそうになった。 バルサが夫でタンダが妻みたい・・・(バルサが”苦手なこと”にぷっ!笑)2014/06/11
まりもん
33
次女に借りて読了。若い頃のバルサとタンダの会話がまだ幼いのが新鮮だった。また、ジグロから色々と学ぶバルサがこうやって大人になっていくんだなぁって想いながら読了。2016/11/17