出版社内容情報
すみかをなくしたおおぜいの幽霊たちをひきつれて、ロンドンにむかう少年リックの旅。はたして幽霊たちのサンクチュアリをつくること
内容説明
幽霊の男の子“おそろしのハンフリー”は、自分がちっともおそろしくないことを気にしていたけれど、りっぱな幽霊の家族にかこまれて、幸せに暮らしていた。ところがある日、一家が住んでいたお城がリゾート施設として近代化されることになったので、しかたなく、新しいすみかをもとめて旅に出ることになった。幽霊たちのことを応援してくれる少年リックと出会い、いっしょにロンドンをめざすことになったのだが、途中で、すみかをなくしたほかの幽霊たちもくわわって、一行はしだいに大人数になっていった。イギリスの人気ファンタジー作家エヴァ・イボットソンのデビュー作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
49
北イングランドにある古城で、つつましく暮らしていた“おそろしのハンフリー”一家でしたが、近代化のあおりを受けて城を追い出され・・。著者のデビュー作です。サラリと読めました。ひらいたかこさんが描かれた表紙絵と見比べながら読むのが楽しかったです。★★★2013/06/07
タカラ~ム
14
人間による環境破壊によって住む場所を奪われた〈おそろしのハンフリー〉とその家族がリックという人間の少年と出会い、『幽霊のサンクチュアリ』を作るために首相に会いに行く。無事にサンクチュアリが見つかったと思ったのだが、そこにはとんでもない罠が幽霊たちを待ち受けていた。児童向けの作品として読みやすく書かれているが、その奥にあるのは社会問題だ。人間のエゴによって壊されている自然。住処をおわれた幽霊たちは、絶滅の道を歩む動植物のメタファーとも読める。楽しく読んでしっかり学べる作品だと思う。2018/12/27
マツユキ
13
ちっとも恐ろしくない幽霊の男の子、ハンフリーは、家族と幸せに暮らしていたが、住んでいた屋敷が近代化される事になり、家を失ってしまい…。タイトルのリックは、環境破壊に関心を持つ男の子。ひょうなことからハンフリーと出会い、手を貸す事になりますが、簡単じゃないよね。現実の問題にも通じていて、面白いです。個性的な登場人物と、友情が楽しい。お母さんハグが本当に臭そうなんですが、最後には、やった〜もなりました。作者の他の作品も読みたいです。2021/11/25
ヴェルナーの日記
8
イボットソンもデビュー作に当たる作品ですが、彼女の各品には一貫したメッセージ性とモチーフが編まれている。 この「リックさまよえる幽霊たち」は、「環境破壊」について(これは「クラーケンの島」と共通する)、「夢の彼方への旅」では、「コロニアル主義・ポスト・コロニアル主義」等といった政治的メッセージを持ち、モチーフとしては「冒険の旅」という要素が組み込まれている。 そして、なんといっても必ずハッピーエンドに終わるというエンターテラー性を重視しているお話ばかりである。2013/04/09
ワッピー
6
初めての著者です。さすが幽霊の本場イギリス!と思いきや、幽霊さえも再開発の波で追いやられていくとは・・勇気ある少年リックの行動力で、幽霊サンクチュアリが発足するも恐るべき陰謀が迫っていた!スタンダードから外れる存在への非寛容性の恐ろしさと最後のフェアプレイ精神も効いていて、楽しく読めました。2014/01/26