内容説明
魔女になるための夜間学校でしりあったミス・プリングルとミセス・マナリングは、幽霊が見えるという能力をいかして、幽霊派遣会社をつくることにした。家がなくてこまっている幽霊と幽霊をひきとりたいという人間の仲介をするのだ。ふたりの事務所には、人のいいおだやかな幽霊の家族やもと貴族のいかにもおそろしげな幽霊の夫妻が、それぞれにふさわしいすみかを求めてたずねてきた。小学校高学年から。
著者等紹介
イボットソン,エヴァ[イボットソン,エヴァ][Ibbotson,Eva]
1925年、ウィーンに生まれる。その後、ナチスの台頭によって家族でイギリスに移住。生理学を学び、科学者の夫と結婚したあと作品を書きはじめる。幽霊や魔法使いが登場するファンタジーを中心に、その奇抜なアイディアとウィット、たくみな語り口が子どもから大人まで幅広い人気を集めている。Journey to the River Seaでスマーティーズ賞金賞、The Star of Kazanでスマーティーズ賞銀賞を受賞
三辺律子[サンベリツコ]
英米文学翻訳家。白百合女子大学大学院修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タカラ~ム
14
「リックとさまよえる幽霊たち」「クラーケンの島」と読んできたエヴァ・イボットソン作品。今回は「幽霊派遣会社」を読んだ。戦争中にいきなり幽霊になってしまったウィルキンソン一家。突然大富豪の後継者となった孤児のオリヴァー。彼らを巻き込んで邪悪な企みが動き出す。これまで読んできた2作品と比べると社会批判的なテーマは薄いけれど、やはり考えさせられることも多い。強欲さや邪悪さとは人間が持つ悪の部分であり、それを克服することが幸せへの道なのかな、と思ったりする。2019/01/19
ヴェルナーの日記
13
幽霊を見ることができるようになった二人。ミズ・プリングルとミセス・マナリングは、住処に困っている幽霊たちや幽霊を欲している人間たちのために双方を斡旋する事業(たぶんNPO)を設立する。そして彼女らの元に依頼が来るのだが、ちょっとした手違いで斡旋先を間違えてしまい、大騒動になってしまった。 イボットソンの作品は結末が分かってしまう(ハッピーエンド)のだが、そこに到るまでのストーリー展開が面白い。2013/03/16
さくらもち
12
二人の魔女が経営する「幽霊派遣会社」は、家がなくてこまっている幽霊と、幽霊をひきとりたいという人間の仲介をする会社。ある日、古めかしくて恐ろしい屋敷に、最高級に怖くて残忍な幽霊を迎えたいという男が現れるが、その屋敷の持ち主はオリヴァーという小さな男の子だった・・・。 風刺や批判もこそっと盛り込みつつ、展開と登場人物の面白さでズンズン読める。イギリス文学の伝統を下敷きに、独自の発想で物語を紡ぐイボットソンに、ハマり中です♪2012/12/29
D4C
10
不幸スタートのハッピーエンド。全てがあるべき所に収まり、悪は罰せられる。読んだ後、素直に面白かったと思える本でした。てっきり、幽霊派遣会社というタイトルだったので、派遣する側がメインだと思ったのですが、派遣される側がメインでしたね。スピンオフ的に、派遣会社の方での面白エピソードや、オムニバス形式で物語を展開させても面白いものが作れるかなぁ~と、思ってしまう素敵な世界観でした。心が豊かになる小説、是非とも子供に読ませてあげたい小説でした♪2018/05/26
秋津
7
すごく面白かった!伝統的なイギリスの児童文学的なディテールを保ちつつ独特の世界。ストーリーも人物造形も納得。そしてユーモアのセンスも私に合っていた。2013/10/04