出版社内容情報
昭和30年代前半、東京で生まれ育った著者がぜんそくを患い、生活のほとんどを自宅の庭ですごした思い出と、当時の東京を描く連作短編集。 中学生向
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
61
昭和30年代。喘息のため身体が弱く、ほとんど学校に行けない少女。彼女にとって庭の木や草花、小さな生き物たちの存在は特別なものだった……。作者の自伝的な物語。四季折々の庭の移ろいと共に、少女の揺れる心情を抒情的に描いています。私も体が弱かったので、少女が生き物に時には残酷だったり、周りの人たちを冷静に見つめていたりする感じは凄く共感しました。不安、嫉妬、憧憬…。「もうすぐ、九歳か。そう思ったら、ふうっとため息が出た。もう九年も生きたんだ、わたしは。」2020/02/21
ぶんこ
45
小児喘息で殆ど学校に通えないアキコちゃんの1年間が、自宅の庭の四季の移り変わりと共に描かれていました。池もある自然豊かな庭と、大学教授だけれど子煩悩な父と、心配症だけれど明るくて大らかな母、時々拗ねるけれど元気いっぱいのお兄ちゃん。滅多に学校にはいけないものの、それを悲観したりしないアキコちゃん。全体に大らかな空気が漂う一家の毎日と、庭の四季の移り変わりが興味深く楽しい読書となりました。2020/03/27
なー
7
作者の自伝的小説だそうです。喘息で身体が弱く、両親から心配され続けの主人公アキコ。自分も身体が弱く入院ばかりしていたので、何となく解る所もありました。でも虫や犬に見せる残酷性はよくわからない…(私は動植物だけを友達だと思っていたので)健康そのものなお兄ちゃんが登場するのですが、大人の視点で読むと、このお兄ちゃんも可哀想な気がしちゃいます。私も姉に沢山我慢を強いていたんだろうな。ごめんね。2020/04/16
Yotsuba
5
小5とき図書委員で、そのとき先輩から「ここのコーナーにある本は面白いよ」と言われてなんとなく借りた本。なぜかずーっと忘れられなかった本。家の庭がひとつの小さな別世界のように描かれていて、すごくわくわくしたのを覚えています。もっと盛り沢山な内容だったような…と思ったけど、当時の自分は今より想像力豊かだったのかも。2014/02/18