出版社内容情報
「先生、あたたかい手をしているのね。
なんかほっとする」
人に触れるのが苦手だった新人柔道整復師の春哉は、
なのはな整骨院で働きはじめます。
整骨院の同僚や、患者さん、近所の人たち、
そして神出鬼没な地域ネコ、マルとの
ゆるやかなつながりが、春哉の居場所になっていきます。
心がほっとするお仕事小説。
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整骨院で働く柔道整復師の仕事は、骨折、捻挫、打撲、脱臼などのけがを、
手をつかっておこなう柔道整復術という方法で、もとの状態にもどす施術が
もっとも基本的なものです。
とはいっても、実際には、けが以外の理由で、身体の不調をうったえて来院する人も
少なくありません。(本文より)
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内容説明
「すこしでもだれかの痛みや苦しみをやわらげることができたら」人に触れるのが苦手だった新人柔道整復師の春哉は、なのはな整骨院で働きはじめます。整骨院の同僚や、患者としてやってくる子どもたち、そして神出鬼没な地域ネコ、マルとのゆるやかなつながりが、春哉の居場所になっていきます。心がほっとするお仕事小説。
著者等紹介
濱野京子[ハマノキョウコ]
熊本県に生まれ、東京で育つ。『フュージョン』で第2回JBBY賞、『トーキョー・クロスロード』で第25回坪田譲治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
52
温かな物語。人に触れるのが苦手にも関わらず、柔道整体師となった春哉。整体院で働くうちに様々なことを学んでいく。主人公がドジっ子ではなく、かといって天才でもなくごく普通の穏やかな青年なのがいい。いわゆるお仕事小説だが、児童書なので描かれるのはほとんどが子供の患者。彼らの身体の不調の原因は、心の問題も大きい。親に心配をかけまいと、気を使う子供たちが切ない。2025/06/15
ゆっき
43
ほっとするお仕事小説。人に触れるのが苦手だった27歳の春哉が「なのはな整骨院」の新人柔道整復師に。素敵な仲間たちや常連さんに囲まれて少しずつ成長。お花係で不思議な力をもつひかりちゃんとの触れ合いにほっこり。子供たちを取り巻くさまざまな問題。こういう地域に根ざした場所があれば早期発見・早期解決につながって安心。人生の寄り道をしたことは決して無駄じゃない。いつか春哉にとってこの仕事が天職と思えるようになったら嬉しいです。2025/02/09
Karl Heintz Schneider
37
なのはな整骨院は地域に根差した施設。「この街の人はほとんど認識している。」と院長は豪語する。そんな整骨院に新たに参加したのが27歳の春哉。まだまだ施術も危なっかしい。でも、人の話をじっくり聴いて柔らかく返す彼に患者たち、特にこどもたちが懐いてゆく。院長が彼に問う「手当とは何ですか?」答えられない彼に「手を当てることです。」何よりも患者たちは言う。「あなたの手はあたたかいですね。」どんな最新機器よりも人の手に勝るものはないと思う。「あたたかな手」を求めて今日も人々はやってくる。2025/03/28
もちこ
33
YA向けの小説だから、さくさくと読めるけれど、中身は大事なことで詰まっている。 この本には、親に本音を言えずにいる子どもたちがたくさん出てくる。中にはネグレクトを疑われてしまう親子も。 周りの大人(祖父母や先生など)がいかに気付いてあげられるか、手を差し伸べてあげられるか、そしてどこまで子どもの力を信じてあげられるか。 子どもを守るために大事にしたいことが、この本を通して訴えられている。2025/01/22
まる子
31
なのはな整骨院で新人柔道整復師として働く事になった西田春哉は、ちょっと寄り道をしたので新人にして27歳。西田先生の手は不調部分をあたたかく治療する。なぜか痛みをわかってしまうひかりちゃんとともに、自分の意思とは違う凌太くん、ネグレクト(虐待)の星良ちゃん、ヤングケアラーと間違えられる颯佑くん、自分を見てほしい美桜ちゃん。それぞれ子供がかかえる悩みは重いけれど、どのよう成長していくのか、なのはな整骨院から見守っています。西田先生の語り口調「〜た。」「〜です。」が多くて最初は読み難くいけれど、慣れます(笑)2025/01/18