出版社内容情報
母親の入院で、祖父母と暮らすことになった透子。そのはなれに自閉症の青年が越してくる。自分の居場所を求め続ける少女の忘れられない夏。
内容説明
小さな海辺の町で祖父母と暮らすことになった透子。そこへ自閉症の青年「ぱんちゃん」が、はなれに越してきた。ぱんちゃんは、透子の心をやわらげていく。彼女もまた、自分の居場所をさがし求めていた。小学校高学年から。
著者等紹介
森島いずみ[モリシマイズミ]
秋田県に生まれる。立命館大学文学部卒業。通訳業のかたわら児童文学を書きはじめ、「ニイハオ!ミンミン」で第15回小川未明文学賞優秀賞、『パンプキン・ロード』で第20回小川未明文学賞大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんこ
56
感情をうまくコントロールできないトーコが、母の病気入院の為、祖父母の家で過ごした1年間の物語。 祖父母の家の離れに住み始めたぱんちゃんは25歳の青年ですが、障害があって施設の支援を受けながら自立を始めたばかり。生き辛いであろうトーコを思うと、ぱんちゃんのような純粋な人がそばに居てくれた事、祖父母と同級生のヨシキのような理解者に恵まれてホッとしました。登校拒否になりながらも、絵を描く事で未来が開けたのも、ぱんちゃんのおかげですね。切ないお話でした。2016/04/18
ゆうゆうpanda
46
初読みの作家、「ばあちゃんの、あきらめたようなかすれ声」を「こげ茶色の、しょうゆせんべい」と表現できる人です。そんな人が描く主人公の少女。こだわりが強く、感情が上手くコントロールできないトーコ。生き難い子です。しかし、生きる力に溢れた子です。母の入院中、祖父母の家に預けられて過ごした若狭での日々。知的障害のあるぱんちゃんを労わり、同級生のヨシキには知らず知らずのうちに庇われます。日差しと優しさを肌一杯に受け止めた美しく、目映い夏。人の命の儚さ、強さにも触れ、結晶となる。透明のビー玉のような一夏の記憶です。2016/04/21
はる
42
夏の思い出を優しく感傷的に描いた物語。自分の感情を上手くコントロール出来ず、周りから誤解されてしまう女の子が主人公。母親の病気のため、祖父母と暮らすことになるのですが、ある青年と出合います。障害があるけれど見事な絵を描く青年と、いつしか心を通わせ合うようになる女の子。あまりに純粋なのが切ない。丹地陽子さんの表紙の絵が内容にぴったりで素敵です。2016/04/05
マツユキ
19
小5の透子は、母の入院中、若狭の祖父母の家で過ごす事になった。離れに引っ越してきたぱんちゃんと親しくなるが…。初夏から秋にかけての若狭の自然が美しく、静かに生きる人々の姿にほっとします。ぱんちゃんは生まれつき障害を持っていて、透子は問題行動を起こしがちな子。二人の交流と、彼らを取り巻く人々の優しさに感動します。良かれと思ったことが正しいとは限らないけど、その気持ちは本物で、相手の中にも残るはず。ヨシキくん良い子。2022/10/14
ばいきんまん
13
'15.12-8(82)表紙から受ける印象の通りなお話だと思う。おじいちゃん おばあちゃんの愛情が深い。ヨシキは何も言わないけど、こっそり優しさ溢れるところがいい。こんな気持ちになれる本をもっと読みたい。2015/12/10