内容説明
「おれはあんなてらてらしたテーブルなんかで、ぜったいめしは食わんぞ!」病気で倒れたじいちゃんと暮らすようになった、てつ兄とぼくは、じいちゃんのリハビリをかねて、夏休みに座卓をつくりあげる。しかし、じいちゃんが亡くなると、その座卓は両親によって捨てられてしまった。座卓には兄弟へむけた、じいちゃんの強い思いがきざまれていたのだが―。二人の兄弟と、死を間近にひかえた祖父との交流を描く、家族の物語。小学校高学年以上。
著者等紹介
朝比奈蓉子[アサヒナヨウコ]
福岡市生まれ。筑紫学園短大卒業。会社員や水泳連盟指導員などを経て、飯田栄彦氏の読書会に参加。これを機に創作をはじめる。1988年ミセス童話大賞優秀賞、1996年新美南吉童話賞優秀賞受賞。福岡県在住
金沢まりこ[カナザワマリコ]
長崎市生まれ。45歳から独学で絵を描きはじめ、翌年雑誌「詩とメルヘン」のイラストコンクールで入賞、やなせたかし氏に認められ絵の世界に入る。2008年現代童画展新人賞受賞。横浜市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coco
29
小学生の主人公かけると兄のてつ、そしておじいちゃん。三人で作った座卓を巡る物語。おじいちゃんが素敵。兄弟それぞれおじいちゃんからのメッセージを受け止め、成長していく姿が爽やか。うまく輪に入れないお父さんが少し不憫だったけど、とても微笑ましく、清々しい読後感。2016/01/09
マツユキ
13
両親が新しいテーブルを買い、兄弟と祖父が作った座卓が捨てられてしって…。同居難しいよね。親の気持ちとは無関係に、おじいちゃんとの思い出を作れた兄弟は幸せ。まあ、それで揉めちゃうんだけど。バイクはまだ早いんじゃないかなと、お兄ちゃんにハラハラ。無鉄砲な兄は祖父似、弟は慎重派のお父さん似のよう。兄弟の性格は違うけど、お互い、無茶しながら、成長した夏の爽快感のあるストーリーでした。2024/09/07
頼ちゃん
9
ちょっとお父さんがひどいかなと思ったけど、お父さんにも思いがあるのだろう。お兄ちゃんも中学生にしてはちょっと無茶。でもおじいちゃんに対する愛には涙が出る。おじいちゃんも素晴らしいものを孫たちの心に残した。2021/04/05
れな@がんばれレバンガ
6
小5の友からのオススメ。兄弟の成長物語。冒険心たっぷりの系譜はおじいちゃんから兄に、慎重な系譜は父から弟に受け継がれているけど、どっちもいい子だよね。ただ、お兄ちゃんみたいな子どもいたら心配でたまらないだろうな~。お父さんがどうにもこうにも悪く書かれていて可哀想なんだけど、思春期の子どもから見た理不尽な大人ってこんな感じだよね。実際理不尽だし(笑)。お父さんの心の内も別視点(あとがきとか)で聞いてみたかった。「ツヨクナレアツクナレユメヲイダケ」☆3.82016/04/10
future4227
5
小5の娘が面白いよと薦めてくれた本。同居することになったじいちゃんと孫たちの心温まる話。一つの座卓にこめられたじいちゃんの思い。それを心の支えとして成長を遂げていく孫たちの姿が微笑ましい。子どもの冒険心を大切にしようとするじいちゃんの思いも素敵。ちょっとお父さんが悪者扱いになってしまったけど、最後はなかなか粋な計らいを見せるじゃないか。竜と座卓との関係がなかなかわからないんだけど、それは読んでからのお楽しみってことで・・・。湯本香樹実さんの『夏の庭』のような余韻が心に残る。2015/09/02