出版社内容情報
十二歳の誕生日にママからもらったコート。そのポケットに入っていたバスの回数券を使ったマミ子は、ふしぎな少女に出会う。時代を越えてふれあう心を情感豊かに描いた傑作を、新たな挿し絵の新版に。
内容説明
十二歳の誕生日、マミ子はママからちょっと古びたコートをもらった。そのコートのポケットにあったバスの回数券で、マミ子は遠い海べの町へはこばれていく。イチョウの散りしくお宮の境内で会ったふしぎな少女は、なぜかなつかしい。時代を越えてふれあう少女らの心を、情感あふれる筆致で描いた傑作。小学上級から。
著者等紹介
末吉暁子[スエヨシアキコ]
神奈川県生まれ。児童図書の編集を経て、創作活動にはいる。『星に帰った少女』で日本児童文学者協会新人賞、日本児童文芸家協会新人賞受賞。『雨ふり花さいた』で小学館児童出版文化賞受賞。「鬼ヶ島通信」同人
こみねゆら[コミネユラ]
熊本市生まれ。東京芸術大学、同大学院修了後、フランスに留学。8年半滞仏
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
91
やっと会えた。この作品は主人公と同じ年頃に初めて読んで忘れられなかった作品だ。私ももしかしたら未来の子供と出会うかもしれない…なんて辺りをキョロキョロしたものだ。今読むと、ずいぶん大人びた内容だ。親の離婚と再婚。時を越えて繋がる杏子とマミ子。普通だと種明かしされずに展開していくラストもすべてをママとマミ子が語り合い終わる。そのこれからも続く親子の時間が暖かいものになればと願う。子供の頃の、私の両親は健在だったが…この少女たちに生い立ちに自分を重ねて見ていたのも事実。妄想少女だったようだ(笑)2014/03/19
はる
55
母からもらった古びたコート。そのコートのポケットにあったバスの回数券で、マミ子は数十年前の世界に行ってしまう…。そこで出会った杏子に、何故か不思議な縁(えにし)を感じるマミ子。二人の関係は果たして…。悩みを抱える少女の繊細な心の揺れが巧く描かれていますね。切なくも温かいストーリー。初出は1977年なので、若い人はいろいろ時代を感じてしまうかも。わたしは昭和のジュブナイル小説の香りが懐かしかったけれど笑。2017/10/04
ぶんこ
49
母からの思い出の貴重なコートを、娘の12歳のお誕生日プレゼントにするって絶句。嫌々ながらも着るマミ子ちゃんは親思いです。そんな親思いの気持ちが通じたのか、母が12歳だった頃に遭遇。切なくて優しいファンタジー。杏子さんの母、母としての京子さん、再婚を考える女性としての京子さん、その時々での京子さん思うと心も生活も豊かになって欲しい。トシさんも良さそうな人なので、幸せになってくれるでしょう。杏子ちゃんが今の幸せを知っていたら・・いや今が幸せならいいですね。2017/10/15
あつひめ
32
子供の頃読んだ記憶のままだった。中古本を購入して点訳をした。言葉の端々に、子供の頃では読み取れない大人の感情なども含まれていて、自分の知らない世界を読書によって体験するんだなと改めて読書の大切さを感じた。最近も母親が家を出た児童書を読んだ。子供にとって家族とはどういうものか。両親が揃っていることが当たり前でないことも子供のうちから知識として知らされている。私が子供の頃より今の子は心は大人かもしれない。私が子供のころドキドキしながら習い事に行くバスに乗っていた夕方の空気を思い出した。解説は子供には難しいな。2024/12/12
金平糖
30
やっと見つけた‼︎バスを待っている時、お古を貰うたび、ポケットの中に何か入っていないか探していた。題名も作者も覚えておらず見つけられずにいたが、先日、ふと【母のお古のコート、古いバスの回数券】をググってみると本作がヒット♫解説は佐藤さとる氏。コロボックルを見つける目を鍛えていた頃読んだんだ。『トムは真夜中の庭で』『ふたりのロッテ』やタイムトラベル物が大好きだったので惹かれたんだ。同い年の母は私の事を知らない。そんなの怖くて悲しいと思ったっけ。娘に同い年の私に会いたいか尋ねたら「無理!尖ってたでしょう」…2016/08/26
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