出版社内容情報
家を出た母親を訪ね、祖父母と北米横断3千キロの旅に出た13歳の少女サラ。旅をとおして成長していく少女の心をアメリカの広大な風景とともに描く。ニューベリー賞受賞作。
内容説明
十三歳の少女サラは、家をでた母親をたずね、北米横断三千キロの旅にでます。祖父母の愛につつまれながら旅をするあいだ、サラは親友フィービィとその家族にまつわる話を語ります。成長する少女の心を、アメリカの広大な風景とともに描いた、ニューベリー賞受賞作。小学上級から。
著者等紹介
クリーチ,シャロン[クリーチ,シャロン][Creech,Sharon]
1945年米国オハイオ州クリーヴランド生まれ。大学卒業後に渡英。高校で英語を教えるかたわら、執筆活動をはじめる。1995年に『めぐりめぐる月』でニューベリー賞、2002年に『ルビーの谷』(早川書房)でカーネギー賞を受賞
もきかずこ[モキカズコ]
1949年広島生まれ。慶応義塾大学文学部卒。日本国際児童図書評議会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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どんぐり
74
13歳の少女と祖父母とのオハイオ州ユークリッドからアイダホ州ルーイストンまでの3千キロに及ぶアメリカ横断。それは、家を出たまま帰らない母親をたずねる旅。途中、アメリカン先住民の史跡を立ち寄ったり、おばあちゃんがヘビにかまれたりするアクシデントなどにも見舞われる。そして旅のなかで少女は母親がバス旅行で目にしたものを見て、感じたであろうことを体験する。これがひとつの物語で、そのなかに少女が仲良くしている友達フィービィのことを祖父母に語る、もう一つの物語もある。→2023/08/05
NAO
72
家出した母親に会うための大陸横断の旅。長距離のドライブの気晴らしにとサラマンカは祖父母に親友フィービィの家族の話をするのだが、いつしか、フィービィの家族や彼女の想像に自分の体験を重ねて考えるようになり、失踪した母親について、冷静な目で考えられるようになっていく。サラマンカが母親の本当の物語を探りあてるまでには、三千キロに及ぶ旅が必要だった。その旅に付き添ってくれた祖父母のなんという優しさ。サラマンカにとっては辛い真実だからこそ、祖父母はそれを孫娘が知ったときにそばに寄り添っていてあげたいと思ったのだろう。2021/11/03
雪月花
57
児童文学書の分類で漢字が少ないが、結構長い物語で大人も楽しめる。ネイティヴアメリカン(主人公はアメリカ・インディアンと呼ばれる方を好むが)の血を引くサラが、失踪した母親のいるらしいアイダホ州にオハイオ州から、祖父母と共に三千キロの旅に出る。車で途中経過する州の見所などもあり、一緒に旅している気分になる。旅の間、サラが祖父母に聞かせる親友フィービィの話がユーモアに富んでいながら謎も多く、その話がサラ自身の物語と並行してどんどん読ませる。悲しい現実が待っているのに、読後感は清々しくて泣き笑いした。2021/10/18
かのん
11
最後らへんになって話が見えてくると思わずわぁぁっと込み上げてくるものがあるお話でした。紹介になかったら手にとらなかっただろう本なので、紹介してくれた人に本当に感謝です。2015/01/07
こもも
10
辛い物語なのに、この読了感の清々しさは何だろう。ラスト、主人公が未来を見据え、しっかり自分の足で立っているからだろうか。どんなに辛い現実が立ちはだかろうとも、人は必ず乗り越えていける。そして、それを見守っていてくれる人が必ず何処かにいてくれる。それは、すっとぼけているだけに見えるおじいちゃんかもしれないし、偶然バスで隣に乗り合わせた人、意味不明なメモを手渡す隣の家のおばちゃん、いやクラスメートかもしれない。でも貴方の味方は必ずいてくれる。そんなメッセージが、これを読んだ子ども達に届きますようにと祈りつつ。2018/06/17