出版社内容情報
死を前にしたひとりの老婦人が、家族の誕生と死を見守り続けてきた神聖な小部屋の歴史を語る。 小学校高学年から
内容説明
その小さな部屋は、新しい命の誕生をむかえ、また家族のだれかに永遠の別れをつげるための、神聖な場所だった。百年に近い年月、誕生と死とが小さな部屋の戸を出入りし、窓からは遠く、世の中の移り変わりが伝わってきた。死を前にしたひとりの老婦人が語る、十九世紀から二十世紀にかけてのあるアメリカの家族の歴史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
18
図書館本。「マッチ箱日記」を返した次の日に出会った。これもまた家族の物語。母と娘、祖父と孫娘の関わりやたくさんの生と死が描かれる。わたしも、「人間は生まれて死んでゆく」それがあたりまえで、順番どおりならまあ良いやと思えるようになってきた。主人公ジョージーナのお祖父さんのすべてのものを大切に!の祈りはとても好ましい。それと画家のジャッドさんも素敵。ジョージーナのお墓には何の木が植えられるのだろう?(遠い死の国に行くより、生まれてくるなほうがたいへんみたいだ。昔も今も)2014/06/14
Alm1111
10
オハイオ州に住む開拓民、1851年生まれのジョージーナが語る物語。彼女の祖父はニューハンプシャー州からやってきた。手作りの家に故郷を想うメイプルの木、リンゴやナシ、家畜と美しい自然、鳥。ジョージーナは祖父の自由な信仰を受け継ぎ、自然を愛すること文学や音楽を愛する少女に成長していく…祖父が死に、新たな命も生まれ、やがて時代は20世紀へ。時は馬車に代わり車の時代。家族の生と死を見つめてきたジョージーナにも「その時」が訪れる…。心に染みる物語。ただ60代でもう老婆というのにちょっと驚いた。2025/09/14
霜月
9
マッチ箱日記がよかったので。アメリカ南北戦争前後の家族のお話し。お産のシーンは風と共に去りぬを思い出しました。主人公のジョージナが生まれた部屋は生まれる時と死ぬ時のみに使う部屋。生と同じくらい死もまた神聖なものだったのです。出産の時の苦しみに比べたら死は何と穏やかで安らかなのでしょう。すべてがそうではありませんが・・ジョージナの祖父の祈りはなんと厳粛で尊いものだったのか。出会ったものすべて・・情景も香りも音も味もすべてを大切にするように。ありふれたものに価値がある。世界は望むと望まざるに関わらず美しい。2014/09/17
猿田彦
5
1851年から67年、ジョージナの生涯とその家族を綴った話。奴隷解放をめぐる南北戦争の頃。農業を営む家には命の誕生を迎え、家族と別れを告げるためだけに用意された神聖な部屋があった。子どもの頃その部屋で逃げて匿った奴隷女に、母のお産を手伝ってもらったこと。神を信じない祖父が亡くなる前、多くの人が信仰を受け入れるよう説得に来たが祖父は考えを変えなかったこと。若い産科医が麻酔に失敗し母を死なせてしまったこと。多くの生死を見守ってきた彼女は「生きている者は、いつも死に直面している」とこの言葉を抱きながら生き抜いた2023/12/02
ばーばら
2
ずいぶん前に一度読んでたこと、かなり読み進めて思い出した。古き良き?時代の南北戦争以降のアメリカ。「わたしの生まれた部屋のある家」で生涯を過ごす女性。引っ越し続けた自分には考えられないけど、その土地と共に生きるって洋の東西問わずかつてはかなりあったんだろうな。おじいさんが印象的。無理やり改宗させようとするとか、知り合いだった熱狂クリスチャンも老いた父が亡くなる前に洗礼させ満足してた。。こういうのキリスト教徒に多いのかも。60代で老婆として描かれる時代なんだなぁ。生死の営みが美しく描かれ味わい深い。2025/09/01




