出版社内容情報
ドイツの一地方に伝わる伝説を描いた壮大な長編小説。 小学校高学年から
ドイツ児童文学賞・ヨーロッパ児童文学賞・国際アンデルセン賞作家賞次席
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめありす@灯れ松明の火
106
年末の読書会greenessさんご推薦本。隣で見た瞬間から『これ面白そうな気がする』としゅぴたきりーん☆★とレーダーが察知しました。読み終わって、別の本で『千と千尋の神隠し』の元になったと聞いて納得したり驚いたり。ドイツでは子どもの時代の頃を冬の時代と表す事があると言うけれど、まさしくそんな感じの冬の情景が際立っていました。これから勿論クラバートとソロを歌う娘さんには幸せになって欲しいけれど、個性豊かな水車小屋の仲間達や、悪いんだけど何か憎めない親方やでか帽や大親分にも、皆幸せになって欲しいと思うのです。2016/01/13
マエダ
101
ドイツの児童文学作家プロイスラーの長編小説クラバード。読み応え抜群でのめりこんでしまう。挿絵が素晴らしく主人公クラバードと親方は挿絵のイメージそのままに脳を動きまわっていた。2017/10/11
Willie the Wildcat
97
仲間との集団生活、そして親友から学ぶ愛情と信義。当初は、単純な報復という意図が、人としての尊厳の回復という目的に変化するのがもれなく転機。Menteeから自然とMentorとなる過程は、もれなく成長の証。最後に問われるのは、意志と意思。娘が語る”見分けた”方法も、クラバートの娘への強い思いの現れと解釈。あとがきで語られる伝説との違いも興味深い。特に母親ではなく娘とした著者の意図を考えてしまう。2017/11/12
NAO
79
魔法使いになる修行をするクラバートの伝説をもとにしたファンタジー。3年の間にクラバートが知った親方の秘密。自由になりたい、水車場に来た最初の年の復活祭の夜歌声に聞き惚れた女の子を忘れられないクラバートはある計画を思いつく。クラバートも必死なら、親方も必死。なにしろ、自分の命がかかっているのだから。親方に勝つために必要だったものとは?クラバート伝説には、親方を倒したクラバートが大人になり、出世していく話もあるという。だが、この作品のように、自由になったところで終わるのが、夢が広がっていいと思う。2020/10/04
syaori
72
物乞いから水車場の見習いになった少年クラバートの成長譚。水車場が魔法学校でもあることや、1年に1人仲間が死ぬ「水車場の事情が」、空飛ぶ馬車や居丈高な軍人、欲の張った商人を翻弄する魔法の技などを挟みながら徐々に明らかになりわくわくします。彼は最後、仲間の敵を討ち自身を危機から救いますが、その彼の成熟が、復活祭や年季明けの儀式といった1年の移ろいの中での助けられる立場から助ける立場へといった変化によって表現され、同じことが繰り返されるようでいてとどまることのない日々の一瞬のかけがえなさも感じさせてくれました。2024/02/09
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