出版社内容情報
著者自身がヘレン・ケラー来日時に直に触れあい、感動した経験からつづった伝記。生い立ちから描く1960年初版作品の文庫化。
内容説明
目が見えず、耳もきこえず、口もきけない不自由なからだをもってヘレン・ケラー。サリバン先生をはじめ、さまざまな人の力を得て、文字をおぼえ、本を読み、文章を書き、成長していきます。著者自身がヘレン・ケラーと直にふれあい、感動した体験からつづった、一九六〇年初版の作品を文庫でおおくりします。小学上級以上向き。
目次
幼いころ(幸福な赤ちゃん;あわれ、ヘレンよ;小さな生命;孤児サリバン;パーキンス学院 ほか)
サリバン先生とともに(人形と帽子;めざましい第一歩;かがやかしい日;大自然のなかで;心の芽 ほか)
光をもとめて(口がきけるようになった;ヘレンの成長;『霜の王さま』事件;いばらの道;聾唖学校 ほか)
栄光への道(ヘレンの使命;盲人を救うために;戦争のみじめさ;光の天使;かがやく栄冠;三たび日本へ)
著者等紹介
村岡花子[ムラオカハナコ]
1893年山梨県甲府市生まれ。東洋英和女学校卒業。評論、随筆、童話、翻訳の世界で広く活躍した。1968年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほっそ
9
彼女の人生もそうですが、それ以上に家庭教師アニー・サリバンの子供時代の話に、驚きました。彼女は家庭的に恵まれないひとだったんですね。さらに目の病気もあったとは・・・ 口がきけない子供だったのに、発声を覚えて、講演などそつなくこなすようになった過程も初めて知りました。2014/11/15
nao1
8
著者村岡花子が貧しい環境ながら、最高の教育を受けたことへの感謝の奉仕が、本書執筆への使命感である。ヘレンは聖書の大部分を暗記するほどに愛し、なぐさめとしていたが、村岡花子は聖書を深く理解し、ヘレンケラーと面識があるため、ヘレンの磨き上げられた人格や精神がより一層深く伝わってくる。ヘレンケラーの奇跡がヘレン本人はもちろん、周囲の人々の愛と忍耐の賜物であることも繰り返し書いている。若い人へ「尊い精神のあり方」を伝えたいという村岡花子の渾身の書。2014/10/13
雪丸 風人
7
私自身が抱える悩みも苦しみも、全ての全てがちっぽけすぎる。負けてられない。読み進めるうちにそんな気持ちが膨らんでいきました。見えない、聞こえない、話せない、という三重苦をひたむきな頑張りで乗り越えた女性とそれを支えた人々の伝記です。教育が可能性を羽ばたかせること、教える者と教えられる者の息が合うことで得られる成長の加速、人間愛を知ることの尊さ、そういった気づきに満ち溢れている作品ですね。「どんな人にとっても一番いいのは人間として普通に扱われること」という言葉が心に沁みました。(対象年齢は11歳以上かな?)2020/04/08
morgen
5
有名な幼少期の話だけでなく、ヘレンがサリバン先生以外の先生方から断続的にではあるが、どのような指導を受けたのか、サリバン先生と二人三脚で大学で学んだ話など詳しく書かれている。自分と同じような障害者のために私財を投じてまで活動していたことや日本に三度も来ていたことをはじめて知った。村岡花子の文章がいまの時代には、少し読みにくい。2020/11/22
奈良坂葵
5
ヘレン・ケラーは3回来日していて、その中で著者の村岡花子が演説の通訳をしたという事実は知らなかった。サリバン先生の生い立ちも興味深い。1960年初版を今回小中学生にも読み易く改訂。原田マハの「奇跡の人」とセットで読んで正解だった。2015/05/14