出版社内容情報
伊豆の湯ケ島の山村で、ゆたかな自然と、複雑な人間関係のなかで成長していく洪作少年を描いた、井上靖の自伝的な名作。 小学校高学年から
内容説明
伊豆の湯ヶ島の山村で、おぬい婆さんと二人で暮らす洪作少年の日々。ゆたかな自然と、複雑な人間関係のなかで洪作少年の心は育っていきます。井上靖の自伝的な名作。小学上級から。
著者等紹介
井上靖[イノウエヤスシ]
1907年北海道で生まれ、伊豆・湯ヶ島の戸籍上の祖母のもとで小学校時代を過ごす。京都帝国大学哲学科卒業後、毎日新聞社に入社。1950年、「闘牛」で芥川賞を受賞。翌年、新聞社を退社して作家活動に専念する。1976年、文化勲章受賞。1991年没
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感想・レビュー
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サラダボウル
11
伊豆の山や川、風、そして人々の心の裡まで、そのままに描き出される。主人公の少年、洪作は曽祖父の妾に育てられる。実祖父母や、慕う姉のような身内にも囲まれ、日々遊び、走り回り、多くの愛情に包まれている。生の人間の、意地悪さややりきれなさも、笑う姿も、読者は洪作少年とともに目撃し体験していく。笑ったりドキドキハラハラして、大泣きして。歩いて、歩いて、それでも生きるんだよって、最後に吹き抜けた風は、哀しい。2022/04/19
ねこ
3
子供向け文庫です。巻末に難しい言葉の解説もあり、小学生でも無理なく読めるようになっています。内容は前半のみ。新潮文庫版が完全版のようです。血の繋がらない育ての母おぬいばあさんは坊を溺愛します。子育ての神髄かも。2016/02/26
はゆ
3
文学作品を読み慣れていないので、読み終えるまでに時間がかかってしまった。間に何冊も読みやすい作品に走ってしまい、返却期限が迫ってきてなんとか読了。主人公洪作の微妙な気持ちの表現や、日々の暮らしぶりがとても丁寧に、しかも自然に描いてあり、さすがと思わせられる。とても自由な時間にあふれている子供時代。今の子供にこれほど自由に遊べる時間はないと思うとかわいそうになってくる。2015/05/04
ただぞぅ
2
大正時代の古き良き田舎の生活が描かれている。小学生であった井上靖の自伝的な作品。この作品で初めて井上靖を知った。通信簿は、大型のハンカチに包んでもって帰るとか、学校の先生の言うことは絶対で、世にも恐ろしいものと考えられていた時代。また田舎ならでは親戚付き合いや狭い人間関係もげんなりさせられた。地方では今でもこんな風習が残っている。そんな時代があったのかと思うと、世間の常識とは流動的であり、一時的な幻の決まりごとのようだ。著者作品には、「闘牛」「射程」「氷壁」などの現代的な作品もあるようなので読んでみたい
ARI
2
子供の頃からタイトルだけは知っていたけど、読んだことがなかったので、読んでみました(笑) 正直、子供の頃に読んでいたら、最後まで読むことは難しかったと思う(笑)。まず、人間関係(家族関係)が複雑だし、内容が淡々としているので。。。 日々の生活、またはちょっとした事件から少年が少しずつ成長していく姿を書いているが、現代人にとってはちょっと物足りないかも。。。2014/08/01