出版社内容情報
言葉に障害をもつ子どもと、その周囲の人々とのぶつかりあいを鋭く描いた短編集。坪田譲治文学賞等を受賞した名作。
内容説明
障害を持つ姉が働いて得た、はじめてのお給料。このお給料が家族にもたらす小さな奇跡を描いた表題作他、六人の主人公が体験した胸の奥の痛み。坪田譲治文学賞、新美南吉児童文学賞、児童文学者協会新人賞、赤い鳥さし絵賞等、数かずの受賞に輝いた、感動の連作短編集。小学上級以上向き。
著者等紹介
丘修三[オカシュウゾウ]
1941年、熊本に生まれる。本名、渋江孝夫。東京学芸大学、東京教育大学で、障害児教育を学ぶ。『ぼくのお姉さん』で、坪田譲治文学賞、新美南吉児童文学賞、日本児童文学者協会新人賞、赤い鳥さし絵賞を受賞
かみやしん[カミヤシン]
1942年、東京に生まれる。リュブリャナ国際版画ビエンナーレ、プラッドフォード国際版画ビエンナーレで受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くたくた
17
ひろちゃんが初めてのお給料の封筒を出すシーンで涙がこみ上げた。彼女を守り育ててきた家族の積み重ねてきた時間の重さ大切さが胸に沁みた。この本を読んでふと思った。自分の思った事を口にできない、正しいと思った通り行動できない。これだって生きていく上では障害だ。障害は知能が遅れている事、話せない事、歩けない事だけではない。人が心のままに穏やかに、正しく、幸せに生きていく上で邪魔をするものはすべて「障害」だし、そういう意味では私達はみな障害者だ。だからこそお互いが補い合いながら生きれる社会であってほしいと願う。
みー
16
障がいを扱った短編集。この本を読んで子供達に「心の痛み」を感じて欲しい。障がい者側と、健常者側、両方の痛み!私はどうしても、自分の子が障がいを持っているから・・普通と違うだけで排除の対象となり、不当な扱いを受ける子供の親目線で読んでしまい・・健常者側の理不尽な言動には、どんなに反省をしていようと怒りが拭えなかった・・。子供達にはこうした、「怒り」「悲しみ」そういった感情をこの本で感じて貰いたい。2017/05/16
頼ちゃん
10
少し古い感はあるが、今の子でも感じることはあると思う。障害のことをよくわかっている方が書いているなあと思った。2019/04/01
ローマの平日
8
はじめの話を読んだ。涙が出た。そんでもって、自分の長女をいろいろ攻めてしまった。なにかと悶絶してしまう、読書であった。その長女は2回もこの本よんだのに、「え、3千円じゃなくて、3万円だったんでしょ。」「あんた読解力なさずぎ!お父さんが入れ替えたの。なんでわかんないの!云々。」ごめんよ・・おねえちゃん。2016/05/16
morgen
7
原本は1986年刊。脳性マヒなど、コミュニケーションが不自由な障害児との関わりについて考えさせられる本。考えなしに人をばかにしたり、ましてや暴力を奮うことがいかに愚かしいことか…。読みやすいが、しっかり読み応えがあった。パラリンピックのPRや発達障害の概念の普及を通し、障害者との共生が以前より身近になった気がしていたが、コミュニケーションが不自由な重い障害のある方々とは今でもかなり距離を感じる自分に改めて気づかされた。2020/03/16