出版社内容情報
老狩人と誇り高いガンとの心あたたまる交流を描いた表題作のほか「熊野犬」など,野生の動物たちを生き生きと描いた珠玉の13編。 小学校高学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
瑪瑙(サードニックス)
31
『リラの花咲くけものみち』の中に『大造じいさんとガン』の話が出てきました。恥ずかしながらこの話を主人公と一緒で知らなかったので今回読みました。椋鳩十さんの作品は小学生の頃図書館でよく読んだのですが、この本の話は初めてのものばかりでした。動物たちの生き生きとした姿、尊厳、人間との関わり方、全てにおいて心を揺さぶられました。2024/10/17
うーちゃん
21
小学校4年生のときの教科書に掲載されていたのを思い出します。雁狩りの名人 大造じいさんと、雁の群れの頭領 残雪(ざんせつ)との戦いを描いた物語。残雪はとても賢く、大造じいさんの仕掛けた罠を悉く見破り、群れを守ります。敵であるはずの大造じいさん、そして読者は、そんな残雪の姿にしだいに心を打たれるのです。自然に生きるものと、それを尊ぶものだからこそなし得るすがすがしいまでのフェアプレイ。悲話も多いですが 椋鳩十の動物ものは、動物好きならまず読んで損はないでしょう。2012/10/24
み
18
仲間のためにいつも真っ向勝負な雁「残雪」。対して、大造じいさんはなんとしてでも残雪をひっとらえようと、卑怯な手を使ってまでする。大造じいさんは残雪の覚悟、生き様に心打たれたのだと思った。ライバル心のような、残雪に対する敬意のようなものの表れだと感じた。国語5年生。2022/01/13
マツユキ
17
表題作は小学時代に読んだはずなのですが…。猟師から聞いた話や、自分の飼い犬や、野良猫、カラスに、ハチ。親しみやすい、美しい文で、するする読めました。今の時代にはない自然との関わり方で、驚くことが多かったです。動物にも、個性があり、知恵があり、尊厳があり、愛情がある。動物との関わり方をもう一度考えるきっかけになって、良かったです。2023/06/07
どりーむとら 本を読むことでよりよく生きたい
15
大造じいさんが残雪の行動によって心が動かされる様子がよくわかる小説だと感じた。大造じいさんの気持ちによって風景の見え方も違う。そこは私も風景を見ながら感じることがある。心象風景の描き方が美しいと感じた。でも、そのようにガンに情をかけていて狩人はやっていけるのとも感じた。大造じいさんとは、生き物を殺して生きていかなければならないという宿命にどのような覚悟で向かい合ったのだろう。「渡し守」という映画の中で、狩人が自分が死んだら動物がいる森に捨て動物に食べてもらってくれと言い残した人がいた、そう覚悟してたか。2024/03/11