出版社内容情報
ちいさな街のちいさな郵便局ではたらくふたり、ガイトーとトリノス。
ある日、ガイトーは、一度も手紙をもらったことがないという
灯台守のじいさんに、「手紙」を書いてみることにした。
「みょうなてがみもあったもんだ」
配達したトリノスがつぶやくと、灯台守はこういった。
「あんた、しらないのか。これは、詩、って、もんだよ」
詩って、なんだろう?
その輪郭をやわらかに描き出す、詩人が書く「しじん」の物語。
内容説明
「なんだか、魔法みたいじゃないか」ちいさな街で、とどきはじめた、ふしぎな「てがみ」。そのてがみは、人々のこころをやわらかに動かしていく―。詩人が書く、「しじん」の物語。
著者等紹介
斉藤倫[サイトウリン]
1969年生まれ。詩人。2014年『どろぼうのどろぼん』で長篇デビュー。同作で第48回日本児童文学者協会新人賞、第64回小学館児童出版文化賞受賞
牡丹靖佳[ボタンヤスヨシ]
1971年生まれ。現代美術作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
106
読んでて自然に涙が出た。こんな感じは久しぶり。図書館で借りて読んだけど、あまりに良くて即買いました。牡丹靖佳さんの優しい絵も大好き。💘ばかね、詩って、書いてあることだけじゃない。書いてないことを、かんがえさせるものなのよ。💘よくはしらないけど、詩っていうのは、とくだん、ひつようがないから、いいものなんじゃないのかな。 2024/12/19
とよぽん
61
本の造作から内容まで丸ごと、斉藤 倫さんの詩の世界だった。牡丹靖佳さんの絵も詩に寄り添っている。装丁が名久井直子さん。偕成社すごい! 2024年の終わりにこんな素敵な本を発行して、未来に希望をつなげてくれた。しじんのゆうびんやさん、ありがとう。2024/12/26
ぶんこ
47
ガイトーさんの詩がお守りと思う人の気持ち、私にもお守りとなってくれそうな詩。最初の「空が海に送った手紙」から空と海のお互いを思いやる気持ちにウルウル。いじめっ子への送られない手紙、開けられない手紙。封をされていたのは私だったのか?は切ない。うさぎの母から子への優しい手紙を冷たい目で読む漁師。他にも多くの詩が私の心をとらえました。「言葉は今だけ。だから人は文字を作った」「この素敵な気持ちが明日へ残りますように」これらを書いたガイトーが識字障害?というのが衝撃でした。読んでいると手紙、文字の素晴らしさと痛感。2025/02/01
seacalf
43
詩人、斉藤倫さんの新作。詩というものはとかく高尚なもので、とっつきにくそうなイメージもあるが、斉藤倫さんは毎回とても身近なものとして触れさせてくれる。今回は自分が書いた文章が詩だと意識すらしてない郵便屋ガイトーを主人公に、詩をより原始的な段階から紹介してくれる。彼の紡ぎ出す詩は素朴で飾り気のない言葉であるが故に、街の人々をどんどん魅了していく。読んでいると優しい気持ちに包まれてくる。日々の忙しさで疎かになりがちだが、身の回りのすべてのものに改めてじっくりと目を向けて思いを巡らせてみたくなる。2025/01/18
東谷くまみ
41
何気ない言葉で編まれた詩の中にひっそりと隠された孤独や悲しみ…そんなどうしようもない感情と共鳴し合った時、その詩はその人にとって特別なものになる。詩の向こう側にある何かが、一人じゃないよって思わせてくれる。勇気づけてくれる。心のお守りになり、歩いていくための杖になる😊詩が掬いあげてくれることで初めて気づく自分-詩の持つ力を考えた「うみにふるゆめ」、暗くて寂しい気持ちを持て余していた小学生の頃の私に解をくれた「とどかない」「あした」、トリノスとガイトーの今までがいっぱい詰まった「ゆうびんや」→2025/03/02
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