出版社内容情報
シングルマザーの母親の仕事の都合で、ナナは中2のときに渡米した。高校生活は4人の仲間とバンドを組んで、演奏に明け暮れる。日本の大学に入学を決めた彼女は、4人と卒業旅行を企画するが、ある事件がおきて計画は中止となる。
それから1年半がたち、事情を知らされないナナは、いまだ果たせていない卒業旅行を実現するため、再びアメリカに向かい、バンド仲間一人一人を訪ね歩く。
『ある晴れた夏の朝』の著者が、若者の姿を通して現代のアメリカ社会の実相を描くYA小説第2弾。
内容説明
アメリカで高校生活を送っていたナナは、当時バンドを組んでいたメンバーと卒業旅行を計画する。だが、ある事件が起きて、旅行は実現されなかった。翌年、仲間たちとの約束を果たすため、彼女は再びアメリカの地を訪れる。『ある晴れた夏の朝』の著者によるYA最新刊。中学生から。
著者等紹介
小手鞠るい[コデマリルイ]
1956年岡山県生まれ。同志社大学卒業。小説家。詩とメルヘン賞、海燕新人文学賞、島清恋愛文学賞、ボローニャ国際児童図書賞などを受賞。2019年には『ある晴れた夏の朝』(偕成社)で、子どもの本研究会第3回作品賞、小学館児童出版文化賞を受賞。作品多数。1992年に渡米、ニューヨーク州ウッドストック在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
51
アメリカの小さな町でバンド仲間として過ごした5人。ウッドストックへの卒業旅行を約束していた。日本に帰国していたナナは、大学入学後のゴールデンウイークに渡米。日本にいるナナ以外の4人で行なうはずだった小学生へのギター教室で乱射事件が起こる。ノエル以外の3人は諸事情があって不参加。残された者としての罪の意識に苛まれる。犯人への憎しみと喪失感。だが、唯一の被害者となったノエルの母の「憎悪は憎悪しか生み出さないとわかった」の言葉が重い。自分が当事者となったら、犯人を許せるか?自分を許せるか?答えは出ない。2020/12/29
horihori【レビューがたまって追っつかない】
42
アメリカで高校生活を送ったナナは、卒業を待たずに帰国するが、当時バンドを組んでいたメンバーと卒業旅行を計画していた。だが、メンバーのノエルが小学校銃撃事件の被害に遭い、亡くなったことで旅行は実現しなかった。事件の翌年、ナナは仲間たちとの約束を果たすため再びアメリカの地を訪れる。先進国の中で唯一死刑を執行している日本。その意義を考えされられる。犯人を許すことで前に進む遺族。この感情は、子どもには難しいかも。子どもは20年前に起きた池田小襲撃事件のことが出てきたことで、少し身近な気持ちで読めたらしい。2021/05/19
ゆっき
23
小手毬るいさんのYA最新刊。罪と罰、死刑の是非、憎しみや悲しみという感情について考えさせられる作品でした。バンド仲間のノエルが銃乱射事件で亡くなり、後悔や責任を感じて苦しむメンバーたち。そこから許すことで前に進もうとする生きていく力を感じました。ノエルの写真と共に約束の卒業旅行へ。2020/11/29
tetsubun1000mg
22
表紙のイラストからアメリカの学生の物語と想像していたがかなり違った内容でした。 高校生のバンド5人組が作詞しながら音楽に合わせてストーカーが進んでいく。 日本人のナナが日本に帰っている間に事件が起こり、バンド仲間がばらばらになっていた。 中盤以降は日本とは違う凶悪な事件と、罪と罰に対する人々のとらえ方の違いなど考えさせられる内容でした。 最後は救いの兆しが見え始めて余韻を持って終わる。 今まで読んだ小手鞠るいさんの作風とは全然違ったが面白かった。 1956年生まれでこんな青春物語が書けるのは素晴らしい。2021/01/01
ふぇるけん
18
アメリカでバンドを組んでいた日本人少女ナナ。約束の卒業旅行を果たすために渡米した先に待っていたのはある事件をきっかけに全く変わってしまった仲間たちだった。非業の死を遂げた仲間の死を乗り越えるために彼らがとった行動と感情の動きがとても生々しく伝わってきた。死刑制度の是非、そしてなぜ死刑が必要/不要か、さまざまな葛藤があり、もちろん簡単に答えが出る問題ではないが、いい視点を与えてくれる本だと思います。2021/01/11
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