内容説明
大きな戦争のあと、難民が集められた島。学堂の教師アギーは、ある少女の、特別な舞いの才能に気づく。おりしも各国は、大戦中に兵士たちのために舞い、やがて姿を消した舞姫を追いはじめていた。坪田譲治文学賞受賞作家が書きあげた祈りと再生の物語。小学校高学年から。
著者等紹介
濱野京子[ハマノキョウコ]
熊本県に生まれ、東京で育つ。『フュージョン』で第2回JBBY賞、『トーキョークロスロード』で第25回坪田譲治文学賞を受賞
平澤朋子[ヒラサワトモコ]
東京都生まれ。武蔵野美術大学卒業後、フリーのイラストレーターとして活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遠い日
5
戦争の時代に自分がなしたことの意味を深く抱えているアギー。重いテーマが物語を貫いている。憎しみの連鎖の恐ろしさ。平和を願いつつも、対立し反目しあう国どうしの立場。いつの時代も人間が抱えている愚かでどうしようもない命題が描かれる。アギーの祈りが現実を動かすことに少しでも繋がれば……。2011/01/22
奏
3
ハルーン、マケラ、テルンの三国で争った大きな戦争の二年が経ち、敵国だった人たちへの憎しみも残り、復興が進まない状況のなか難民が集められたスサ島。そこで子どもたちを教える学堂の女教師アギーは、連れられてきたある少女の舞の才能に気付く。ファンタジーだけれど、テーマは重い。戦争が残したものにそれぞれ苦しめられているけれど、今できることは未来へと種をまき、決して繰り返さないこと。そんな著書の想いが伝わってきました。2022/07/31
ことり
3
戦争などの重いテーマなので、戦争を体験していない私はそんなたいそうなことを言えないけど...。どこで産まれたのかで子供が自然と差別する事が、読んでいてとても悲しかった。アギーとラキと共に、祈らずにはいられません。2014/09/09
望愛
2
舞姫と呼ばれる踊り子だった教師アギー。躍動感あふれる踊りの描写が印象的。平和って何だろうって思わず考えてしまった。犯してしまった罪の重さ、アギーの苦悩、同じ過ちを犯すまいとする決意。物語が進むほどどんどん引きこまれてく。温かくて、でも強い強い祈りの話。2012/07/23
703
2
よく作り込まれてるなーという印象のお話でした。そのせいか前半は取っ付きにくくて、ちょっと読みづらかったけど、後半ノッてからはぐんぐん面白くなりました。濱野さんはこう・・・アイデンティティを問うような作品が多いような気がする2010/12/12