内容説明
すべての強情っぱりたちへ心をこめて贈る物語。5歳の「わたし」と70歳の「おばあさん」。似たもの同士の心が通い合い、小さな奇跡がおこった。「わたし」がそのとき目にしたのは、強情だった少女と、強情だった少年の、ひそやかな歴史―ユーモラスで、力強く、ほろ苦くて、やさしい珠玉の言葉をつめこんだ、佐野洋子のファンタジー小説。
著者等紹介
佐野洋子[サノヨウコ]
1938年北京生まれ。武蔵野美術大学デザイン科卒業。ベルリン造形大学でリトグラフを学ぶ。その後、絵本・童話・エッセイ・翻訳と幅広い分野で活躍。2003年紫綬褒章を受賞。2008年には絵本作家としての長年の創作活動により巌谷小波文芸賞を受賞。代表作に、絵本『100万回生きたねこ』『わたしのぼうし』(講談社出版文化賞絵本賞)『おじさんのかさ』(サンケイ児童出版文化賞推薦)『ねえとうさん』(日本絵本賞、小学館児童出版文化賞)、短編集『わたしが妹だったとき』(新美南吉児童文学賞)、エッセイ『神も仏もありませぬ』(小林秀雄賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chimako
76
映画の方が分かりやすいかもね、と読み終える。おばあさんは松坂慶子さん、お父さんは佐藤隆太さん。主人公は小さなようこ。お父さんとの散歩が好き。散歩の途中に誰も住まない洋館。ある日灯りがともり、誰かぎ住み始める。そこで出会った花の咲き誇る庭の家のおばあさん。ジフテリアに罹ったようこは時空を越えて小さな頃の、少女の頃の、若い頃のおばあさんと会い、その生涯の一端に触れる。結婚式の前日に逃げ出したおばあさんはお父さんとの約束を果たす。「強情」がキーワード。洋子さんはご自分の強情をよくわかっていらしたらしい。2022/11/15
ミーコ
50
『100万回生きたねこ』が素晴らしく 印象に残っている佐野さん 帯に惹かれ読んだ1冊です。強情で恐い感じのおばあさん 最初の印象とは違い優しい心を持った人。花をいっぱい咲かせていたのは約束を守っていた為…。 切なくなるお話でした。ようことおばあさんとの手紙のやりとり、胸がキュンとなりました。不思議なお話でした。2017/09/23
野のこ
39
「私は強情なの、強情じゃない人なんてつまんない」睨みつけるしわくちゃなおばあさん、勝気な女の子と出会い時空がゆがんだような不思議な世界へ。女の子の記憶の世界? 恐かったおばあさんからピュアな心が見えて、でも切なくて。。「私は七十になったけど、生まれてから七十の年を全部持っているんだよ…あんただって五歳のあんたを持っているだろ だから八つのわたしと五つのあんたは遊べた」にぐっときました。2017/11/14
tokotoko
28
新年1冊目!話題作とかでは全然なくて!27年前の作品を新たに刊行されたものでした。古いけれど、古いからか?何だか独特の余韻を残してくれた。2つのお話が収められていて、どちらも、現実と空想を行ったり来たりする。私は、現実と思い出を行ったり来たりしながら読みました。特に、父と・・・大好きだったおばあちゃんのことをいっぱい思い浮かべながら読みました。おばあちゃん・・・今日が命日です。2014/01/02
びわこっこ
27
佐野洋子さんのファンタジー小説。お父さんと散歩で行った、洋館で庭の花の世話をしていた、おばあさん👵。主人公のようこがジフテリアに罹って入院したときに、70歳のおばあさんが、8歳の娘になって、ようこと、タイムスリップして過去の世界を再現する。児童文学には、大切なものが詰まっている。ときには哲学書のように、問題を投げかける。お父さんと、おばあさんの話には、生きる上での珠玉の言葉が詰まっていた。もう一つの金色の赤ちゃんは、障がいをもつ、とも子ちゃんのお世話をする、ようこちゃんの正直な気持ちが描かれている。2022/12/04