出版社内容情報
朝鮮からの引き揚げという苛酷な体験談を通して、加害者でもある日本人の姿を描く。 小学校高学年から
内容説明
ゆう子が気楽に引き受けたテープ起こしは、みすずさんが終戦後、おさない子どもたちをつれて引き揚げてきた体験だった。加害者であり被害者の日本人の姿であった。小学校高学年から。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
9
『ふたりのイーダ』 https://bookmeter.com/books/476124 (直樹とゆう子の物語)5作目。前作『屋根裏部屋の秘密』で山荘の管理人として登場したみすずさんの体験談が書かれている。敗戦の翌年、我が子たちを連れ北朝鮮から引き揚げてきたみすずさん、戦争被害者でありながら、加害者でもあると自分を客観的に見ている。『 イキリョウ / みすずさんのこと / この風邪うつるべし / 直樹の報告 / 長靴どろぼう / 終戦前夜 / 敗戦 / 信一ちゃんの死 / コックリさん →2023/09/16
マツユキ
8
歴史と言うには新しく、現代でもあるんだけど、私は何も知らないんだなぁ。戦争で、苦しめられた日本人、でも、苦しめた側でもある。同じ人間、心が通い合うだけに、辛い。火の玉に導かれみすずさんの引き揚げ。火の玉をどうとらえたら良いのか分からないんですが、導かれた人だったんだろうな。ラストで、思わず、行けるよ、と、思ってしまった。2012/07/30
行加
2
これは「ふたりのイーダ」から続く、シリーズ五冊のお話だそうです。松谷さんは、私にとっては昔から「こわい話の人」なのですが、最近は「戦争の話の人」にもなりつつあります。今回は、朝鮮からの引上げ者の方のお話。文化交流で開かれた昨今でも、いまだ反日感情が根強く残っているのは当然なんだと、改めて感じさせられました。松谷さんは静かに、淡々とそれを教えて下さいます。2013/12/29
fern
2
民話集の系統かと思って手にとってみたら、終戦後の朝鮮からの引き揚げの体験記だった…ぐはっ。そういえば昔読んだ「アンネ・フランク」のシリーズか! じっとりとリアルでありつつも平明、そして、公平で深遠な視点がじわじわ沁みる。「実体験」として、こういうお話を聞くことは、すでにほとんどできなくなってしまったのだから、こういう書物を読むこと大事だよなあ…2011/04/11
すぬぴ
1
直樹とゆう子の物語5作目読了。加害者側としての戦争。知識としてはおぼろげにあるものの、直視出来ていない自分がいる。私がした事じゃない、という逃げ。でも、された方は絶対に忘れないんだよね。原爆と同じだ。今の時代に生きている私がこの物語に魅せられたのは、なにか理由があるはずだ。私の中で何かがくすぶっている。物語に触発された私の内部。警鐘を鳴らしている。2016/04/03