著者等紹介
ヘルトリング,ペーター[ヘルトリング,ペーター][H¨artling,Peter]
1933年、北ドイツ生まれ。新聞社、出版社勤務中から詩や小説を発表し、1970年頃から子ども向けの作品を書き始める
上田真而子[ウエダマニコ]
広島生まれ。マールブルグ大学で宗教美術史を学び、現在ドイツ児童文学の紹介に活躍。ヘルトリング、エンデ、リヒターなど多くの作家の本を翻訳した
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感想・レビュー
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サク
32
世界中で子どもが毎日生まれている。その中で、障害を持って生まれてきた人たちの数は、はかりしれない。生まれてきた子どもを我が子として認め、愛する心が必要。生まれてきた子どもの支えは、家族のはず。その家族が見捨ててしまえば、行き場はない。今、その行き場をあらゆる学校、施設、病院で受け入れる体制が見られる。いじめを考える絵本『おおきなあな』が浮かんでくる。障害を持った子どもと親が、苦しみという『おおきなあな』に落ちないためには、まず、周りの理解と知識が必要。そして、受け入れる環境作り。だからこそ道徳教育は重要。2015/03/01
けんとまん1007
20
ヒルベル。実際にいた子のようでもあるが、実は、いろいろなことの象徴ではないだろうか。人は、いろいろな障害、あるいは、違う点を持っている。しかし、それをどうとらえるかで、大きく生き方が違ってくるのだと思う。もちろん、そんな簡単なことではない。数年前からの、自分自身の経験も、色濃く反映しているので、いっそう、そんな思いが強くなる。お互いを思う、ちょっと冷静な眼でみると、距離感を適度に保るということかもしれない。そこを間違うと、全然違う結果にもなる。2015/03/18
ぱせり
19
「ヒルベルにいったい何ができるのか、などということをわれわれは思いなやむ必要などないのである。ヒルベルが、ただそこにいてくれるということ、そのことが計り知れない意味をわれわれにもたらすのである」との河合隼雄さんの言葉が尊い。大人たちの「発作」という言葉に、相手への無関心が滲む。ライオンの話、おうちの話、お日さまが作られる国の話、忘れられない。2017/07/13
フム
17
良かった。いい本だと思った。以前読んだ河合隼雄さんの『子どもの本を読む』 (岩波現代文庫)の中で紹介されていていつか読みたいとメモしてあったのを図書館で見つけて読んだ。ヒルベルは町外れの施設で暮らしている。親の手におえなくなったり、引き取り手のない子どもたちが暮らしている施設だ。みんなから悪い子だと思われていて、厄介者扱い。誰も彼のことを愛してくれない。若いマイヤー先生だけが愛情を注いでくれるが、それでは足りないのだ。だから問題を起こす。2018/07/27
kanki
16
ドイツ児童文学。知的障害の子の、施設入所という現実を知る、ということか?過去形のタイトルも意味深である。 2021/03/27