出版社内容情報
外来生物48種が、人間が日本に持ちこんだのに「わるもの」となった不満を、生物自身の「言い分」としてコミカルに、味わい深いイラストとともに語り、持ちこまれた理由とその後の経緯も解説する本。監修は上野動物園元園長の小宮輝之氏。池や堀の水を抜くかいぼりや、釣りや川遊びで外来生物を捕らえたとき、多くの場合、おとなも子どもも持つ感情は「よそものは排除すべき」という……ちょっと待って。それは正しい? 外来生物も、在来生物と同じ一つの命。外来生物は、日本に来たくて来たわけじゃない。ほとんどが、食用、観賞用、害獣退治など、人間の勝手な都合でつれてこられたもの。たしかに日本の自然と生物多様性をおびやかしているものが多いけれど、つれてきたのは人間。外来生物たちはこう言いたいにちがいない。「つれてこられただけなのに」と。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
81
子供向け動物雑学。フルカラー全ふりがな付き▽2005年「外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」で「侵略的外来生物」のうち明治以降に日本に持ち込まれ特に注意すべき生き物を「特定外来生物」に指定。世界自然保護連合(IUCN)は「世界の侵略的外来種ワースト100」リストを策定。外来種生物問題は人間の問題▽日本の生き物が海外で外来生物になっている例①ニホンジカ②イタドリ等▽食用、ペットで持ち込まれた生物多い。世界輸送で運ばれた生物はしかたないかも。2020年発行2025/09/22
アナクマ
34
「すきで来たんじゃない!」と言っているかもしれない…外来生物の言い分を聞くという優れた企画。人間が連れてきておいて後になってワーワー騒ぐという構図。◉「はじめに」以降の10頁が重要。見開き1種の分かりやすい構成。一覧には移入年があるとなお良い感じ。類似種との見分けは無いのでそこはWikiに頼ろう。◉彼らに対する是非論や対処法は様々あれど、興味持つ人を増やして拡散を記録する、一般的にできることはそれだけかも。外国クワガタやセアカゴケ、ツマアカのように最近の事例に注意しよう。フクロギツネは知らなかったなぁ。→2021/05/03
いぼいのしし
30
外来生物は悪者にされてるけれど、確かに「つれてこられただけなのに」だね。すべて安易で浅はかな人間のせい。 2022/01/22
shiho♪
25
タイトルが秀逸(そのまんま)ですね。まさに心の叫び…。 先日テレビでホンビノス貝の特集を見た。東京湾でよく取れる二枚貝。北アメリカ原産で貨物船のバラスト水に紛れて連れてこられた。安価で美味しいとのこと。私の住む地域には流通していないので、食べてみたいなぁと思ってた。本書にもホンビノス貝がムラサキイガイと共に紹介されていたが、他に紹介されている生物と比べて、在来生物を脅かさないとのことで、養殖されている。こういう外来生物もいるのだなぁと。生物によって冷遇されたり歓迎されたり、これもまた人間の勝手なのよね。2021/07/20
月渚
10
生きものたちの言い訳(ほぼ言い訳ではないが)確かにと共感しました。2020/09/14