出版社内容情報
太平洋戦争ののち、南の海の小さな島に、ひっそりすみれが咲きました。・・・特攻に散った若者達と小学生の交流を愛情をこめて描く。 小学校中学年から一般むき
内容説明
太平洋戦争がおわったのち、特攻機の飛んでいった南の小さな島にひっそりすみれが咲きます。声高に戦争反対を叫ぶのでなく、静かに、子どもたちに平和の重さ、いのちの尊さを語りつぐ絵本です。読みきかせて、理解させてほしいのは1.2.3年生。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
221
手紙をくれた方々はもういらっしゃらないのよ。…飛行機が生徒たちに手を降るように飛び立っていく。ある少女が見上げていう、すみれの花を贈りたい。…その花束を渡すということは、お別れが近いということ。夜は華の香りに包まれて、故郷の家族を友人を思い出す。せめて、最後に夢見た世界は幸せで美しかったと切に願う。…南にある小さな名前のなかった島には、すみれが一面に咲き誇っている。…この日常の素晴らしさを知れるのは、あの非日常があったから。平和が心の深くから根を張り、地球上の花を永遠に咲かせてくれることを願っています💐2021/08/11
chimako
77
【読書週間のイベントで】1年生2年生がクラスで本を読みます。1年生がちょうど戦争の絵本でPOP作りをしたところだったのでたくさんあった絵本の中から自分たちで選んだ1冊。……学校の窓から飛行機が飛ぶのでみんなで大きく手を降ります。すると飛行機も翼をふってくれます。けれど、その飛行機は決してかえっては来ません。お手紙を書いたらお返事が来ました。……特攻機に乗らねばならなかった若者たち。すみれ島にひっそりと咲く花たち。強い言葉で語られるのではない。それでも戦争はダメだと子どもたちの心にも響いたようだ。2016/11/02
ミーコ
63
図書館の司書さんから 絵本だけど良いですよ と教えて頂き さっそく読んでみました。「特攻機が学校の上を飛ぶようになった。先生たちは知っていた… 最期のサヨナラをしていることを。」と言う文章を読み胸が痛みました。子供たちの届けたすみれの花で兵隊さん達は童心にかえり花すもうを・・・ ひとときの安らぎを感じたのでしょう。戦争が終わって、戌年かすぎ 無人島の一面にすみれの花が咲くようにー。どんな思いで突撃されたのかを思うと心が苦しくなります。すみれに思いを乗せて散っていかれたのでしょう。2016/08/17
とよぽん
55
特攻花の話は知らなかった。鹿児島の海軍航空隊から飛び立った特攻機。海辺に近い小学校の上空を飛ぶ特攻機を見上げ、声援を送る子どもたちは絵や手紙、すみれの花を届ける。若い隊員は出撃の前夜、すみれの花に故郷を思い、未練を断ち切って朝を迎える。今の子どもたちに特攻隊のことを説明するとき、私だったら何と言うか・・・。前途ある若い命を次々と散らせた軍部の罪は余りにも大きい。2021/08/29
ちえ
45
特攻隊として南の海に散った若者たちに小学校の生徒たちが送る手紙、絵、そしてすみれ…。すみれの花に故郷を思い出撃前夜を過ごした若者。<…いま出撃の号令がかかりました。皆さん、ありがとう。ゆうべはほんとうにたのしい夜でした。いつまでもお元気で。サヨーナラ> 作者の今西氏は「特攻花」の話を聞き、この作品を書いたという。実際の特攻花は中継基地の喜界島で渡されたテンニンギクともいわれているが、この絵本を通して戦争で何が起こっていたか、何が失われたか、子供たちに伝わっていくことを心から願う。2021/08/21
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