内容説明
だれかがぼくをよんでいる。とおくでぼくをよんでいる。にほんから5000キロもはなれたみなみのくにマレーシアから、1わのツバメがとびたった。なんのためにツバメはどこをめざすのか…うみをこえ、たびはつづく。ツバメのいきつくさきは?4歳から。
著者等紹介
鈴木まもる[スズキマモル]
1952年、東京都に生まれる。東京芸術大学中退。「黒ねこサンゴロウ」シリーズ(偕成社)で赤い鳥さし絵賞を、『ぼくの鳥の巣絵日記』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。全国で鳥の巣展覧会を開催している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶち
78
燕が飛ぶ姿を見ていると、その飛翔のスピード感に見惚れてしまいます。ツバメは500kmも離れた東南アジアから日本に渡ってくるそうです。「うみのむこう はるか とおくから ぼくを よぶのは だれ」と、一羽のツバメが飛び立っていき、海を越える長い長い旅に出ます。勢いよく風を切る姿に惚れ惚れします。日本に着いたときのツバメの視線で見る景色は、とても新鮮です。目的地はいつもの一軒家の軒下。そこで、子育てが始まります。この絵本は、渡りの旅から雛が生まれるまでをツバメの視点で描いていて、その躍動感がとても新鮮です。2024/12/12
yomineko@ヴィタリにゃん
57
はるか彼方、5000キロの旅をこなすツバメ。日本から遠く離れた東南アジアから、たった一点、前に巣を作った日本の場所にきっちりと戻って来る。人間には不可能な事を成し遂げるツバメ。毎年春になると同じ場所にやって来て、つがいで仲良く子育てしている姿に感動します😊2024/06/04
東谷くまみ
49
「だれかがぼくをよんでいる とおくでぼくをよんでいる」表紙に描かれたツバメの目に宿る強い意志。何かに突き動かされるように、誰かの声に導かれるように。途中冷たい雨で身体を濡らす日も、強い向かい風に怯む日もあるだろう。それでもいくつもの夜を超えて…たどり着きたい、あの街に。渡り、巣作り、新しい命を育むこと―生まれる前から知っていた。きっともう少しで会える、黒いタキシードに身を包み、はるか南の国から旅をしてきた彼らに😊2023/04/23
chiaki
43
生まれ変わったら旅をするツバメになりたいという長女に読み聞かせ。風に乗って海を越え、雨に打たれ、遥か遠くの地を目指して、一体いくつの夜を越えて来るのだろう。スピード感ある挿絵にみとれる。5000キロも離れた東南アジアの地からやって来るのだそうだが、未だよく分かっていないことが多いとのこと。日本では、ツバメが家にやって来ると縁起がいいと巣作りから巣立ちまで見守り大切にしますが、その習慣って素敵だなぁと改めて感じました!本書でも「ツバメさん ごめんね おちた」と絵があり、その愛情にとてもほっこりしました。2020/09/19
gtn
39
ついこないだ、知人が亡くなった。テレビを見ながらうたた寝をしていたので、妻が布団で寝るように促したが、目を覚ますことはなかった。一週間後に立ち退く予定だったが、生まれ、育った家から出ていくことに未練があったのだろう。彼といい、5千キロを旅して日本に帰巣するツバメといい、どうしようもない本能に突き動かされている。"業"と言ってもいい。共通するのは、それが彼らにとっての幸福希求なのだろう。2021/10/13