出版社内容情報
おばあちゃんの部屋には、女の子の絵がかざってある。「この子はだれ?」って聞いてみたら、「この子は、あたしよ」って教えてくれた。
びっくりするわたしに、おばあちゃんが話してくれたのは、海辺のアトリエに暮らす絵描きさんと過ごした夏の日のこと、おばあちゃんにとって、いつまでも色あせない、特別な思い出だった。
少女がのびのびと心を開放することができた宝物のような日々を、まるで映画のシーンのように見応えのある絵で描いた魅力的な絵本。
内容説明
海が見えるアトリエで、絵描きさんと過ごした1週間、心がのびのびとひらかれた、たいせつな日々。小学校低学年から。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
285
Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作と言うことで読みました。堀川理万子、初読です。海辺のアトリエでのセラピー絵本、大人向きですが、不登校の子供達にも読ませたい感じです。コロナもあって最近海に行っていませんが、やはり海に魅かれます。 https://www.kaiseisha.co.jp/books/97840343516042021/09/21
ちゃちゃ
123
おばあちゃんが話してくれた、子どもの頃の特別な思い出。真っ青な海が見えるアトリエで、ある絵描きさんが私の絵を描いてくれた夏の日のことを。その絵を見たとき「だれでもない、あたしだっていう感じがした」。そう、これがありのままの今の私。学校に行きづらくなっていた私が、絵を描くことで自分と向き合い、心を解き放った一週間。始めは真っ白だった紙もいつしか鮮やかに彩られてゆく。そっと寄り添ってくれる人と自然が、私に力を与えてくれた。やがてそれはかけがえのない思い出となって心に刻まれ、私の人生をずっと支えてくれたんだ。2021/10/27
buchipanda3
107
ある夏休みの思い出を綴った絵本。表紙の色使いがいいね。大きな窓を前に穏やかな表情を見せる二人と一匹につられてこちらも穏やかな気持ちになる。ページをめくるとどの絵もやはり色使いに癒された。朝の光も夜の明かりも優しげに二人を照らす。群青色の海は横長の本に大きく描かれ、開放感いっぱい。毎日、心を自由にして気の向くままに過ごす。やろうとしても案外上手く出来ないものだ。でもそれをやっている人を見たら、出来そうな気がしてくる。たまには逆立ちして世界を逆さまに見てみるのもいいかも。窓の外に広がる世界を新たな気持ちで。2023/07/30
夜長月🌙
76
女の子が海とアートで自分を取り戻す物語。今の社会はなんと制約が多いのでしょう。他者からの制約だけではなく自らも自分で自分を縛っています。自然の大切さと自然体でいることの大切さ。2023/02/11
はる
73
何だか羨ましいです。おばあちゃんが語ってくれた、少女の頃の思い出。学校に行けなくなった頃に一緒に過ごしてくれた、優しい絵描きの女性の思い出…。海辺のアトリエで過ごす毎日。美しい風景に美味しい食事。そして女性のさりげない優しさがいいですね。海に水着を着てきた理由が素敵。人にはこういう存在、こういう時間が時には必要かもしれない。2021/05/31