出版社内容情報
“どうしておばあちゃんをすてるの。年とったらお父さんをどこにすてればいいの?”子供の質問に父は・・・。パキスタンの民話絵本。 子どもから大人まで
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
269
文の福井達雨氏は止揚学園(滋賀県)の先生、絵の馬嶋純子さんは止揚学園の生徒。お話はパキスタンの昔話のようだが、日本の姥捨て伝承にそっくり。「アッサラマレコム」の挨拶で始まる。「パキスタンのことば」とあるが、これはイスラム圏で広く用いられる挨拶言葉でアラビア語。風土感を反映してか、陰湿にならずにあくまでも明るいお話に仕上がっている。絵は、フォルムといい、力強い線と色彩で迫るアフリカン・アートのタッチだ。背景の町もモロッコかチュニジア風。いい絵本だ。2025/03/01
そのじつ
10
タイトルといい、ストレートにメッセージの届く絵本でした。「ぼく」の主張は自明の理であるのに、なぜ大人は気付かないのか?と疑問が湧くが、「慣習」というものは「なぜ?本当にそれでいいの?」に目をつむり、自分に選択権が無いふりをした人々によって、責任不在のまま続いていくものかもしれない。本書の文とプロデュースをした福井氏による解説で紹介されていた、パキスタンから日本の福祉を学びにきた研修生の言葉がグッときた。彼女はいわゆる「老人ホーム」は「姥捨て山」に見えたと言う。2013/08/27
メタボン
9
☆☆☆ 日本の姥捨てと同じようなパキスタンの民話。いつかは自分の身にも訪れる老いという問題を絵本を通じて考えさせられる。2015/01/25
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
8
パキスタンの昔話。うばすての話です。大事なおばあちゃんを捨てに行くのは村の掟。実行しようとするお父さんをタ―リック少年は止めようとします。2019/01/06
ヒラP@ehon.gohon
6
パキスタン版「姥捨て山」ですが、子どもの一言で父親の気持ちを変えたというお話。 「いずれ自分も父を捨てに行かなければならないから、その場所を知るために連れて行ってほしい」 なかなか言えない言葉であり、なんだか教示的なところも感じたのですが、この本のあとがきを見て得心しました。 障害児施設の先生と子どもの共同作品であるこの絵本には、両者の思いが強く入っているのです。 「みんなと一緒がいい」 「自分たちを捨てないで」 そんな願いがいっぱい詰まっています。 絵も、一生懸命描いたのでしょうね。 2013/11/14