内容説明
あるまぶしい朝、そのおじいさんのようなピアノは、ごつごつと、しずしずと、そして威風堂々と、わたしのところにやってきました。昔々ドイツのノイマン社で「ピアノ」になり、はるばる日本にわたってきたピアノなので、わたしは「ノイマンじいさん」と呼んでいます。話せば長いいきさつとご縁があって、「ノイマンじいさん」は、余生をわたしのところで過ごすことになりました。この本は「ノイマンじいさん」がうとうとしながら語ってくれた物語を、ゆっくりゆっくりきいて、ゆっくりゆっくり詩と絵にしたものです。
著者等紹介
工藤直子[クドウナオコ]
1935年生まれ。詩人。2008年『のはらうたV』で講談社野間児童文芸賞受賞
あべ弘士[アベヒロシ]
1948年生まれ。元・旭川市旭山動物園飼育係。1995年『あらしのよるに』(講談社)で講談社出版文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やま
107
ピアノは夢をみる。2009.06発行。字の大きさは…大。「なんとなく・青空」と同じく詩は、工藤直子さん。絵は、あべ弘士さんです。直子さんのあったかく、やさしく、そよ風のような詩と、弘士さんの躍動的な、精力的な、力強い絵で構成されています。お話は、直子さんの所に、箱型でアップライトピアノよりひとまわり大きな、もう100歳になるピアノがドイツのノイマン社からやって来ました。そのピアノを直子さんは、「ノイマンおじさん」と呼び。そのノイマンおじさんとの、お話を綴ったものです。この詩を読んでいると、心が落ちつきます2020/02/16
Kikuyo
23
やさしい森のにおいのするピアノ。森にいた頃の夢をみる。ピアノの声を聴くとでもいうのだろうか、そんなお話。空想的だけど、空想じゃない。「からだのなかをとおりすぎた、たくさんのしらべを もりにかえって りすやことりにうたってきかせる夢をみる」2017/11/30
ふじ
21
ジャケ借り。詩集でした。ドイツのノイマン社が作った昔の大きなピアノ。工藤直子さんの家で余生を過ごすこととなったピアノが見る夢。ピアノへの愛と敬意が伝わってくる。あべさんの自由な絵がまたいい。子どもとのやりとりを題材にした詩が印象的。2016/11/03
ののはな
9
「あんたは ごつごつしているけれど やさしい森のにおいがするね」と風に言われたピアノの詩(うた)工藤直子さんは道具ともピアノとも語り合える希有な方。このお話も旧いピアノのノイマンじいさんから聴いたのですって。あべ弘士さんとの名競演が効いています。2011/07/12
遠い日
6
だいじに作られ、だいじに弾かれたピアノの見る夢。どこにいてもあらゆる風景が音になってあくがれ出づる。工藤さんの思いとピアノの夢が重なって、美しいメロディが紙面に踊り出す。2017/07/24