感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふう
79
この本には、同じ作者なのに二通りの終わり方があるようです。わたしが読んだのは新しい方。民話には、そこで暮らしてきた人々の、子どもたちに伝えたい願いや戒め、そして楽しさが込められています。かこさんは戒めより、前向きに生きる力を伝えたいと思ったのでしょうか。最後の方、山鳥に手を合わせるおっかさんと、きっと口を結んだ一心に畑を耕すヤ助の、それぞれの思いが胸を打ちます。語りを聞いた女の子に「山鳥さんを返して」と泣かれた話もいいですね。読み聞かせの力を感じます。絵の力強さもこの話にぴったりです。2019/04/13
kaizen@名古屋de朝活読書会
78
信州矢村のヤ助。山鳥を助け、銭を代わりにおき、山芋を掘ってくる。正月に道に迷って来た娘を嫁にもらう。鬼を倒すために、十三節の尾羽根を残し、山鳥は去る。鳥獣婚姻譚を題材に。方言や古い言葉の解説があるところが心憎い。2014/06/11
はる
62
読友さんの御感想から。とても素敵な作品なのになぜ書影が無いのでしょう。1978年に一度出版され、2014年に手直しして再出版されたとか。ページを開くと、文字の位置と絵の巧みな構成によって一つのページで流れるように読めるのが凄い。ラストのヤ助の表情は絵本にしては異質な感じですが、同時にその強い想いが伝わって来ます。あとがきが素敵ですね。かこさとしさんの優しさと子供に対する真摯な想いに感銘を受けました。2019/04/17
ちえ
30
1955年に加古さんが鳥獣婚姻譚の「鶴の恩返し」を<庶民的な山鳥と前向きに生きようとする男女の姿のほうが子供達にふさわしい>と思い子供へ語った話が基。加古さんらしい明るい色の風景、登場人物たちの今にも動き出しそうな表情。特に最後のページ、ヤ助のまなじりを上げ一心不乱に鍬を下す姿に、すべき事をしながら抱える切なさ辛さが伝わってくる。78年、94年、絵本、紙芝居、と形を変えて出され、2014年米寿記念出版として本にし全国の公共図書館に送ったという。読友さんたちの図書館にもきっとある。ぜひ手に取ってほしい1冊。2019/02/23
ベル@bell-zou
25
読み友さんのレビューより読み比べ☆【1978年初版】"語り絵本"と銘打つだけあり最初の朗読のお願いが良い。信州地方の方言が素朴で会話の臨場感があり山間の田舎の雰囲気がよく伝わった。冒頭、脚の悪い母が寂しくないよう畑へ背負って連れて行く場面にグッとくる。【2014年全国図書館寄贈非売品・かこさとし米寿記念出版】物語としてよく整理され方言も田舎の訛りが残る程度で読み易い。大おにの恐ろしさはこちらがより鮮明。>>ラストを変えたのは"山鳥をかえして"と泣くお子さんのためかな。私は1974年版の方が全体的にも好き。2019/03/03
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