出版社内容情報
「しばてん」とは、カッパに似た化け物。その生まれ変わりといわれる太郎のたどる運命を、深いペーソスをたたえながら描きます。 4才から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
277
たしま せいぞう 作。タイトルの「しばてん」は、土佐に伝わる伝説の妖怪だそう。まず、絵だが荒々しいほどの力強さを持った独特のタッチである。リアリズムを突き抜けた抽象なのだが、それが功を奏していると思われる。お話は、しばてんの生まれ変わりと言われた、たろうの数々の事績を描く。飢饉にあえぐ村人たちを救ったのは、誰がどう見てもたろうである。ところが、役人たちの詮議に村人たちが差し出したのは、しばてんだった。この不条理な結末を大人は受け入れるだろう。だけど、子どもたちは承服するのだろうか。2024/11/05
のっち♬
123
土佐の化け物しばてんの生まれ変わりと見なされ村人により山へ追い立てられた捨て子のたろうは、人恋しさから村人を救うが…。逼迫すればどんな屁理屈も罷り通る人間のどうしようもない卑怯さを扱ったテーマがとにかく重い。しかし、土着的で大胆なデフォルメを駆使して描かれた作画は躍動感に溢れ、特にしばてんに至っては絵本から躍り出てきそうな力強い生命力。これぞ作者の真骨頂。だからこそ人柱にされたたろうの無言が沁みるのだ。そんな人間の根源的な脆さを汲んだ上で、全てを包容せんとする作者のスタンスが全編からひしひしと感じられる。2024/01/22
yomineko@ヴィタリにゃん
59
読み友様からのご紹介本です📚しばてん=神様。韋駄天みたいな感じでしょうか。土佐弁がとても素敵です😊村を飢饉から救った太郎は、みんなから化け物だと言われ出て行き、二度と村へは帰って来なかった。しかし、村人達は誰も彼をずっと忘れることが出来なかった。。。2024/11/26
ゲンショウ
23
小学校にて拝読。高知県に伝わる、河童の様な妖怪のお話しです…が、創作絵本と銘打って居る通り、しばてんをモチーフにした、世知辛いお話しでした…。誰かの不幸の上にしか幸福は築けないのか…?!命題ですね…。2012/06/04
はしけん
17
小学校の読み聞かせに使いました。衝撃作です。お気に入りの絵本で、オススメ本。もっと支持されたらと思ってます。ただ、人間の暗部が描かれてるので、何才位に読ませたらいいのか悩みどころ。2012/02/01