内容説明
秋のおわりの寒い日に、村の一本道にかかれた、どこまでもつづく石けりの輪。女の子はとびこんで、石けりをはじめます。片足、片足、両足、両足…。ふと気がつくと、前とうしろをたくさんの白うさぎたちにはさまれ、もう、とんでいる足をとめることができなくなっていたのです。北の方からやってきた白うさぎたちにさらわれてしまった女の子のお話。5歳から。
著者等紹介
安房直子[アワナオコ]
1943年東京に生まれる。日本女子大学国文科卒業。在学中より山室静氏に師事、「目白児童文学」「海賊」を中心に、かずかずの美しい物語を発表。『さんしょっこ』第三回日本児童文学者協会新人賞、『北風のわすれたハンカチ』第十九回サンケイ児童出版文化賞推薦、『風と木の歌』第二十二回小学館文学賞、『遠い野ばらの村』第二十回野間児童文芸賞、『山の童話 風のローラースケート』第三回新見南吉児童文学賞、『花豆の煮えるまで―小夜の物語』赤い鳥文学賞特別賞、受賞作多数。1993年永眠
こみねゆら[コミネユラ]
熊本に生まれる。東京芸術大学絵画科、同大学大学院修了。フランスに留学して絵本、人形の仕事を始める。帰国後、フランスと日本の絵本や挿し絵の仕事を手がけている。『さくら子のたんじょう日』(宮川ひろ作/童心社)で日本絵本大賞絵本賞を受賞。東京在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちょろこ
117
うさぎの白は、何の色?の一冊。クリスマスカラーの洋服と長いまつ毛。大人っぽい表情で描かれた女の子が、ぴょんととびこんだのは石けりの輪。どこまでも続く輪に女の子の楽しさも弾む。ところが、片足、両足、とんとんとん…前も後ろもいつしか真っ白なうさぎに囲まれた。意外な展開にちょっとびっくり。うさぎの白は何の色?自分は純真無垢な可愛さの色だと思っていたけれど、こんな自然界そのものの色でもあるのね。赤と緑と白が連れ出す不思議な時間の狭間。無邪気さと可愛さと怖さが同居したような読み心地。2023/12/24
pino
112
こみねさんと交流のある、草木染作家さんが「読んでみて」と貸して下さった。すっと目前に現れすとんと幕を引く安房直子さんの世界を味わう。どこまでも続くろうせきの輪も石けりも白いうさぎの行列も不吉な匂いがする。ほら案の定、赤い服の女の子はさらわれていくところだ。さいごは雪のかたまりにされてしまうんだと。「片足、両足、とんとんとん」うさぎの歌につりこまれ抜けられない。ああ、じわりと怖い。吹雪、知らない町。女の子を救う手立ては…。一転、春の陽が差し込んだ時…。いっぱいにひろがる情景に先の草木染作家さんの顔が浮かぶ。2021/01/09
ぶち
83
秋のおわりの寒い日に、村の一本道にかかれた、どこまでもつづく石けりの輪。それは、雪うさぎの通り道。その列にまきこまれたら、さらわれてしまうというのです。安房直子さんの童話です。何気ない日常から一気に別の世界に連れて行かれてしまいました。おばあちゃんのお話をちゃんと聞いていて、その内容とおまじないの言葉思い出してほんとうによかった。賢い子でよかった。 安房直子さんの童話は、秋から冬にかけての季節にピッタリですね。 こみね ゆらさんの絵にも魅せられました。2024/11/16
モリー
75
安房直子さんの紡ぎ出す「季節の変わり目ファンタジー」(私の勝手な造語です)を絵本に仕立て直した作品です。「ひめねずみとガラスのストーブ」「みどりのスキップ」と共に季節の変わり目に読みたくなる絵本の中のMyベストです。2021/01/03
☆よいこ
72
絵本。安房直子『童話集 遠い野ばらの村』から▽秋のおわりの寒い日に、女の子は地面に書かれた石けりの輪を見つけた。見ると石けりの輪はずーっと向こうまで続いている。女の子は輪の中にぴょんと飛び込んで「片足、片足、両足、片足…」リズムよく跳んでいく。すると前にも後ろにも白うさぎが現れて、石けりの輪から抜け出せなくなってしまった。おばあちゃんに聞いたおまじないの言葉を言おうとするけれどうまくいかない▽不思議なお話。イラストも可愛い。2007年刊2024/11/06