出版社内容情報
日本の3大ドヤ、寿町の全貌を明かす「読む立体地図」。わずか200m×300mほどの町の中に120軒ものドヤがひしめく。染みつき、絡み合い、裸のまま、心の底からぶつかり、交わり、生きるひとびと。そして、あなたは町の中に入っていく……。
内容説明
わずか200m×300mほどの町の中に120軒ものドヤが犇めく。染みつき、絡み合い、裸のまま、ぶつかり、交わり、生きるひとびと。正常と異常、孤独とぬくもり、こちら側とあちら側、彼らとわたし…。横浜の一等地に実存する「ハマのドヤ街」取材6年、執念のノンフィクション。
目次
ネリカン
ヘブン・セブンティーン
愚行権
キマ語
沖縄幻唱
帳場さん二題
さなぎ達
刑事
寿共同保育
山多屋酒店
寿生活館
人間の謎
白いズック靴
お前は何者か
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
キク
60
          
            三大ドヤ街の一つ「寿町」のルポ。資料は用いず「そこに生きる人々」の言葉だけで構成している。日雇い労働者や過去から逃げてきた人、支援にきた宗教家や活動家、行政関係者。その言葉は事実ではない部分がかなりあると感じるが、本人にとっては真実なんだと思う。著者は無自覚だろうけど「向こう側の人」「向こう側に関わろうとする人」「こちら側の人」という視点があり、それが人々を警戒させ、言葉を選ばせている。その構図自体が「寿町」を俯瞰で立ち上げていて、興味深かった。「寿町をのぞく時、寿町もまたこちらをのぞいている」ってやつだ2024/02/22
          
        ばんだねいっぺい
31
          
            寿町で生きる人々のインタビュー集。 会話の切り取り方がとても自然だった。それにしてもいろんな人がいる。文学者と仮名で呼ばれる人は、実際、どんな人がなんだろうか。2022/03/01
          
        わんつーろっく
24
          
            日本三大ドヤ街のひとつ横浜の寿町、地元民としてその成り立ち、歴史など大まかなことは知っていたが、ノンフィクションは初読。かつては港湾荷役者で賑わっていたが、今は単身高齢者を中心に福祉の町に変貌した。保育所や学童保育の立ち上げ、その後、ホームレスの見回り、アルコール依存症からの克服、行政との橋渡しなど、様々な問題解決に取り組まれた活動者には頭が下がる。自己責任論を肯定するか否かは、ホームレスを支援する際のスタンスに大きく影響するが、さぁお前は一体どちら側の人間なのかと、自問する著者の熱意に圧倒された。2021/04/05
          
        遊々亭おさる
24
          
            日本三大ドヤ街のひとつである寿町は、港町横浜にある。その存在は横浜の発展と切っても切れぬ関係にあったが、みなとみらいやベイブリッジの建設に携わった日雇い労働者達が作り出す活気も今や昔。現在の寿町は、単身高齢者が多く住む高福祉ニーズの町である。何らかの中毒症や精神疾患を患う人々が多く住むこの町の住人が生きた足跡と住人の生活を支援してきた人々の葛藤を紹介した一冊。世間一般の常識からドロップアウトしてしまった彼らは不幸で可哀想な存在なのか?人と人の関係は対等であること。支援はその人の人生を認めることから始まる。2021/02/22
          
        ロボット刑事K
22
          
            日本三大ドヤ街に数えられ、横浜市民がその地名を聞くと眉をひそめる寿町をレポートするノンフィクション。街の住人の構成は、とことん運に見放され、寿町に辿り着いたついてない人が3割、残りの7割は、自業自得な人達、と私は見ていました。が、私はその7割の人々の中に、非常に精神年齢が低い人が多いことに、仕事を通じて気付きました。もしかしたら発達障害の人が相当数いるのかもしれません。寿町を支えるサポーター達のルポから、寿町の独特な社会構造が透けて見えます。☆4つで。ま、この街に興味本意で近づくのはよしたがいいです。2021/06/07
          
        




