出版社内容情報
冤罪という言葉さえ知らなかった絵私はなぜ殺人犯に仕立て上げられたのか。そしていかに救いだされたのか? 足利事件の犯人として無期懲役が確定しながら、ついに再審を勝ちとり17年ぶりに釈放された菅家利和さん。その逮捕の瞬間から、生い立ち、取調べの様子、刑務所での過酷な暮らしを克明に綴る。絶望と希望、正義と自由を求めた闘いの凄絶な記録。釈放後初の独占手記。
内容説明
17年半ぶりの生還後、人生初の告白手記。
目次
第1章 逮捕
第2章 孤立
第3章 出自
第4章 内偵
第5章 闘争
第6章 獄中
第7章 自由
「足利事件」の闘いを振り返って―その中間報告(弁護士・佐藤博史)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
68
冤罪。この本を読んでいるとその怖さがどんどんと伝わってくる。ある日突然警察が家に踏み込んで逮捕される。まず犯罪を起こしたことを決めつけられそして容赦のない取調べで嘘の自白を強要され結局何十年も刑に服すことになる。大事な人生の一部を無残に切り取られあげくは本部長の謝罪で終わる。こんな理不尽なことがあるだろうか。途中菅谷さんが家族や弁護士に出した手紙が紹介されている。読んでいるとこちらまで息苦しく辛くなった。冤罪、釈放されれば終わりではなくその原因を徹底的に検証し再発を防ぐことが大切だと感じた。図書館本。2016/09/15
そのぼん
26
ニュース番組でも報道され、世間によく知られた冤罪事件である『足利事件』の犯人とされていた男性が書かれたノンフィクションの一冊でした。90年に事件が起こり、91年に逮捕、そして2009年に釈放されたという大まかな流れを読んでいただけでも、背筋が寒くなりました。警察や司法は一般人の人生を大きく変えてしまうような力を持ち合わせているので、慎重な判断をしてほしいです。それと、真犯人はいったい誰だったのかも非常に気になりました。2014/06/29
uD
16
1990年5月、栃木県足利市で4歳の女児が行方不明に。翌日遺体で発見された通称“足利事件”。 DNA鑑定を頼りに連行され長時間の尋問の末「自白」、無実の罪で逮捕された菅家さんの思いが詰まった一冊です。 17年もの年月を塀の中で過ごした後、世間様に「間違ってました、ごめんなさい」といくら言われたところで、失われた時間は戻ってこないし、やり直すことなどできないのです。。 「10人の真犯人を逃すとも、1人の無辜を刑するなかれ」「疑わしきは罰せず」科学技術の進歩と共に、人間の誠実さが試されるのかもしれませんね。2018/11/11
ねお
14
警察は、前科前歴なく、交通ルールでさえも律儀に守る1人の市民を尾行し、ゴミからDNA鑑定の資料を勝手に入手した。のちに誤鑑定と判明する鑑定で、犯人に仕立て上げ、暴言を吐き暴力すら行われた。虚偽自白を証拠として一審から最高裁まで有罪となった。検察官も裁判所も弁護人ですら、誤ったDNA鑑定と虚偽自白を疑えなかった。そのために、無実の市民の17年間が失われた。その間、拘置所では自殺も頭によぎり、刑務所では元暴力団からの暴行で骨折をした。無罪推定、それが真に司法の原則となっているか、全司法関係者が読むべき手記だ。2020/09/24
ひとまろ
10
足利事件の元受刑者による告白本。 冤罪事件として長い刑期を勤めるという 耐えがたき事実にどう立ち向かったのだろう? ただ気の弱い人にとって刑事の恫喝は それは恐ろしいものであっただろうし 弁護士がなんたるものかがわからないと このように冤罪が生まれるのだと思う。 取調べの可視化はすべきだと思うし 被疑者にとって警察、検察は敵である。 とくに警察は市民の味方であるというのは 全くの迷信であるというのは良く知っていた方が良い。 2014/01/19