出版社内容情報
【文学/日本文学評論随筆その他】うちの子であるペットは人間同様に極楽へ行けるのか? そう考えると眠れなくなる人も少なくないらしい。この問題に真っ正面から取り組んで現代仏教の役割とその現場を克明に解き明かしていく。ペット塚は歴史の始まりからあり、現代ではAIBOだって手厚く葬られている。
鵜飼秀徳[ウカイヒデノリ]
著・文・その他
内容説明
うちの子も“極楽”へいけますか?ペットの死が照らし出すこの国の優しさ。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遊々亭おさる
17
飼い主は家族同様に接してきたペットの死を悼みお葬式をあげる。ペットに限らず鮪や鰻などの人間に恵みを与えてくれる生き物から果てはゴキブリなどの害虫に至るまで、その魂を慰霊する行事や慰霊碑を辿るルポ。その供養の対象は生き物のみならず迷子郵便や壊れたAIBOまでに至る。一見、コントのような光景は、古来からの土着信仰などが作り上げた万物に魂が宿る国が持つ優しさの根元を見ることが出来るか。畜生道にいるために死んでも成仏は出来ないとされる犬や猫。その教えをめぐって仏教界では議論が起きているそうだ。その姿もまた優しい。2018/11/08
7a
13
動物は極楽へ行けるのか?という疑問が仏教各宗派の争点になっているというのが面白い。今やペットは人の落ちぶれた行き先(畜生道)ではない。しかし日本人の供養心は今に始まったことでもペットに限った話でもないことを、日本各地にある様々な供養塔を解説し教えてくれる。面白かったのは名刺の葬式。確かに簡単には捨てられないものではある。納得したのは人形の葬式。動物もモノも、人の思いの媒介になる。人はそこに自分を寄せて「おかげさま」「ありがとう」と唱えるのだろう。2019/06/14
いぬたち
8
かつては仏教において動物は畜生道という世界に存在して往生が出来ないと考えられていたがここ最近飼われていたペットを往生させたいという飼い主が多く現れた。この本では現在のペットの供養だけではなくその他の生物さらには無生物の供養に関する調査がなされていて人間の食ならびに愛着として接してきた存在に関する供養が叙述されている。南無阿弥陀仏2018/12/29
ふたば
7
ペットから、動植物、無機物や、ロボットに至るまで、日本人は、何にでも供養を行う。もちろん、真面目にだ。可愛がっていたペットを、家族として供養することはなんとなく理解できる。しかし、シロアリやイエバエ、艶黒のヤツや蚊、フグやマグロまで、となると唸るしかない。これへ持ってきて、迷子郵便供養となるともはや言葉がない。日本人の死生観や宗教観はなかなかに興味深いと思う。有機物にも無機物にも感謝の気持ちを持ち、鎮魂の意を表する。万物に命が宿ると考える日本人ならではの、こういう気持ちを忘れてはいけないと思う。2018/10/26
n1
6
図書館本だからできる、無興味・無関係の本を読んでみるシリーズ。2024/07/01
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