朝日新書<br> 福島原発、裁かれないでいいのか

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朝日新書
福島原発、裁かれないでいいのか

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  • サイズ 新書判/ページ数 195p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784022736000
  • NDC分類 543.5
  • Cコード C0236

出版社内容情報

【社会科学/社会】3.11の原発事故は、事故調査委員会で「明らかに人災」とされた。だが東京地検は「不確かな危険まで想定すべき義務はない」と不起訴処分にする。このまま終わらせていいのか。京都地検の元検事正と、刑法学会の重鎮が、原発事故の矛盾と法治国家の将来を考える。

内容説明

福島原発告訴団は、国と東京電力を、業務上過失致死傷罪などで告訴した。しかし東京地検は二度にわたり「想定外なので責任はない」として不起訴処分にした。「人災」が「無罪」で、終わっていいはずがない。原発事故の刑事責任は確実に問うことができることを、福知山線脱線事故や森永ドライミルク中毒事件など、過去に起きた6つの大事故を例にして考える。

目次

第1章 日本で裁かれた大事故、裁かれなかった大事故
第2章 大事故は、どのような視点で裁かれるべきか
第3章 事故を裁く「法」はなにか
第4章 福島原発事故はなぜ起きたか
第5章 福島原発事故は「人災」である
第6章 福島原発事故を「裁けない」とするワケはなにか
第7章 検察審査会は原発事故を「裁ける」とした
第8章 生きていた民事裁判
第9章 法を国民の手に

著者等紹介

古川元晴[フルカワモトハル]
1941年神奈川県生まれ。東京大学法学部卒業。法務省刑事局総務課長、内閣法制局参事官、最高裁判所司法研修所上席教官、京都地検検事正などを歴任。2011年より弁護士。「法の支配」実務研究会代表

船山泰範[フナヤマヤスノリ]
1946年東京都生まれ。日本大学法学部卒業。日本大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

coolflat

8
事故の刑事責任については二つの考え方がある。一つは既に起きた事があり、具体的、確実に予測ができる危険についてのみ責任を問えるとする考え方(具体的予見可能性説)で、もう一つは今までに起きた事がなく「未知の危険」であっても、起きる可能性が合理的に予測される危険については業務の性質によって責任を問えるとする考え方(危惧感説)だ。危惧感説なら原発事故の責任を問えるが、日本は具体的予見可能性説が圧倒的に支配し続けているのが現状で絶望的だ。だが光明はある。大飯差止判決、そして検察審査会による起訴は危惧感説に沿った形だ2015/08/01

skunk_c

5
元検事の弁護士と刑法学者が、業務上過失について、具体的予知可能性で判断する従来裁判ではなく、「危惧感説」により「万が一」の可能性であったとしても、それに対する備えを怠ったのなら刑事責任を問えるいう立場から、東電の重役達の刑事責任を問うべきとする。目的は個人の責任追求よりも。原因究明に必要との立場であり、一般常識に近い「危惧感説」は支持したいところだ。ただ、「無罪推定」の考え方とはやや馴染みにくいか。法理中心の議論で、被告達が果たしてどのくらいの認識があったかということについての掘り下げが足りない気がする。2015/04/23

河童

1
かつて地元住民による反原発訴訟がすべからく敗訴してきたという事実から、私は個人的に司法の独立を疑ってきました。国策のもと、司法は基本的人権や生存権など無視しているのだと。そこに政府の圧力や電力会社との癒着構造さえあるのではないかと、憶測すらしてしまっております。されどこの本の著者や、この本にでてくる故藤木英雄教授などの英知がこれからの司法に一筋の光明をもたらしてくれることを願っているのも事実です。福島原発の事故は良いきっかけになってくれるといいのですが。2015/04/09

寿里子

0
原発事故、人災なのに裁かれない。国策である原子力発電であるがゆえにこんなことにとあらためて思う。非常にわかりやすい本でした。多くの人に読んでほしい。2015/06/25

星辺気楽

0
私が思っている疑問にきちんと答えてくれました。 2015/03/23

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