内容説明
―人はやがて総決算の時を迎える。そのとき「ありがとう」って言えたら、間違いなくその人生は幸せだろう。日本ホスピス界の草分けが、見送った多くの人の最期の姿から、「美しい死」を獲得するために人はどんな葛藤を経なければならないのかを教える。
目次
その1 人生の総決算
その2 3つの和解
その3 理解的態度
その4 最期の希望
その5 子どもに死を知らせる
その6 死は門
その7 緩和ケアとユーモア
その8 ペットの力
その9 最後の跳躍
その10 悲嘆の理解
対談 山崎章郎×柏木哲夫―「幸せな最期」が迎えられる医療とは
著者等紹介
柏木哲夫[カシワギテツオ]
1939年兵庫県生まれ。金城学院学院長・大学学長、大阪大学名誉教授、淀川キリスト教病院名誉ホスピス長。大阪大学医学部卒業。同大精神神経科で心身医学の臨床と研究、ワシントン大学で精神医学を研修。淀川キリスト教病院に精神神経科を開設、73年日本最初のホスピスプログラムをスタート。84年同病院にホスピス開設。大阪大学人間科学部教授を経て現職。朝日社会福祉賞、保健文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mihoko
5
ホスピス精神科医の経験談から様々な人生の幕の下ろし方が書かれている。ターミナルケアという人生の完成期を活かせる医療の在り方にも触れられている。自分は「どんな死にざまになるのか!」と考えるところから、現在の生き方を模索する切欠を与えてくれる書でもある。2021/08/29
ふにゃ
2
死を直視したくないと思う。知識をつけても絶対的な死の前には気休めにしかすぎないが、向きあうためにこうした本を読んでいこうと思う。治療に駆り立てることが、患者さん自身の死と向き合う時間を失わせてしまうことがあることに気をつけておかなければならない、という部分が印象的であった。良かれと思ってしていることが本人のためになっていないということは、結構あると思うので。2013/10/08
rina.mon
0
会社の課題本。ホスピスでの実体験で語られている。必ず訪れるであろう死に対し、死ぬその瞬間が人生の集大成であると語っている。印象に残ったのは、残された人へのケアの点。伝え方、タイミングで悲しみの緩和されるスピードが速くなる。患者への配慮ももちろんであるが遺族への配慮も同じくらい必要であると感じた。2015/06/07
Sho Katayama
0
死ぬ時にこそ、その人の生き方がでるという言葉に、私は共感した。 魂がむき出しになること、心の平安があるのか、自分自身や家族との和解をしたくなること、最後の凋落、跳躍、などがらささった。感謝して死にたい。2014/06/08
大猫熊
0
辛い本である。しかし、大切なことである。言葉の一つ一つが胸を打つ。看護を思うと、必読の書である。それは誰にもあること、知ること、そして行うことになる。6か月前に、運命を受け入れた奇跡的な思い出がある、そうしていられた、そうしてすぎさってきたことの不思議さに、ユーモアのあることをおもいあわせる。あってはならないが、その5は、ここだけでも読んでおくといい。その7とその8と、言い出すと、2500の記録となって、これはもう一度言いたくなる。誰にもありうることを知る、辛い本である。それぞれに、悼む気持ちを捧げたい。2012/03/28